シャトー・メルシャン シャルドネの個性と多様性

「シャルドネはテロワールをはっきりと鮮やかに表現する品種です」

と、シャトー・メルシャンの安蔵光弘チーフ・ワインメーカーが説明する。

安蔵さんに日本産シャルドネの特徴とシャトー・メルシャンのシャルドネづくりを聞いた。

 

chateaumercian産地の個性がワインにはっきりと現れやすいシャルドネは、ブルゴーニュからニューワールドへと拡散し、そこでそれぞれ異なるテロワールに適合し、ブルゴーニュとは違った味わいを生み出している。

日本のシャルドネにも同じことが言える。シャルドネは日本の各地にその栽培適地を見出したというか、むしろそれぞれの土地にうまく馴染んで、母国のそれとは異なる個性をもったワインになっている。そして内外のワイン・コンクールで評価され次々と金賞を受賞するまでになった。

 

現在、シャトー・メルシャンが一年間に破砕するブドウの総量は650トン前後で、ワインにすると5万ケースほどになる。このうち最も多いのは甲州で、シャルドネは白ブドウでは甲州に次いで第二位、破砕量は100トン程度である。

 

シャトー・メルシャンのシャルドネの畑は、新鶴(福島・会津)、穂坂(山梨・韮崎)、北信左岸、北信右岸(ともに長野・北信地方)、池田(長野・安曇野)、マリコ(長野・上田)の3県にある。

(中略)

シャトー・メルシャンの北信シャルドネになる区画の醸造法は基本的に同じだ。産地ごとに分けて小樽で発酵し、小樽貯蔵してからテイスティングして欠点のある樽をそぎ落として選抜する。マロラクティック発酵は部分的に行っている。ところが2015年産は特別な仕込み方を採用した。

 

「ブルゴーニュの醸造方法を踏襲しました。これまではアルコール発酵のあと、寒くなる前にマロラクティック発酵の完了しない一部の樽は部屋を暖めて発酵を促し年内に完了させていたのですが、今年は春先に自然にマロラクティック発酵が起きるのを待ちました」(安蔵さん)。

 

新樽比率は30%。かつては60~70%と多かったが、いまはなるべく土地の個性を引き出したいので樽の香りが前面に出ないような条件にしているという。アルコール発酵ののち樽育成へと移行する。樽発酵をしてから澱引きせずに樽育成すると樽香が付きにくい。逆にステンレスタンクで発酵させ澱引きを済ませて樽育成に移ると樽香が強くつくという。これは酵母の滓の効果だ。樽育成は約6か月。かつては8か月以上樽育成していたが短くした。これも果実の香りを前面に出すのが目的だ。収穫翌年の4月、5月になると気温が上がる。まだ気候の涼しいうちに樽育成を終えてしまうことで樽の溶出が少なくなる。

(後略)

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