「ポメリー・ソムリエコンクール」復活の経緯とポメリーの最新情報を聞く ヴランケン ポメリー ジャパン CEO師井研氏インタビュー

ポメリーが開催していたソムリエコンテストは、かつて若手ソムリエの登竜門的な存在だった時期がある。数年の空白をおき、今年新たに復活することになった経緯に加え、ポメリーからの最新情報をヴランケン ポメリー ジャパンのCEOを務める師井研氏に聞いた。

 

<ポメリー・ソムリエコンクール 2017>

ポメリーが初めてソムリエコンテストを行ったのは1993年のことだった。「ポメリー スカラシップ ソムリエコンテスト」という名称で2000年まで続けた。当時は、ワインブームが日本で始まった頃で、これから世界で輝くべき若手ソムリエが対象となった。

そしてポメリーがヴランケンの傘下に入ってからは「キュヴェ・ルイーズ・ポメリー ソムリエ コンテスト」と名称も変更し2002年から2008年にかけて、年齢制限もなく幅広く応募した。

今年は「ポメリー・ソムリエコンクール 2017」が開催される。すでに予選は終了し、本選の準決勝と決勝は10月30日に都内で開かれる。

「今回のリバイバルにあたり、さらに幅広く様々な世代から応募があった」と師井氏。9年のブランクの間にも、かつての優勝者から「後輩を出場させたい」などの要望が複数あった。

「昔からポメリーがソムリエやハイレベルなガストロノミー、レストランと深く関わってきた立場にある、という点も強くアピールしたい」というのも主催者側の意向のひとつだ。

 

審査委員の顔ぶれを見ると、このコンクールが緊張感あふれたものになりそうだと想像できる。森覚氏、石田博氏、岩田渉氏、井黒卓氏の4名で、いずれも難度の高いソムリエコンクールの経験者たちだからだ。

「もちろんシャンパーニュに対する知識がポイントで、優秀なソムリエであると同時に、深い理解や興味が必要となる。シャンパーニュを含めた日本のスパークリングワイン市場をさらに活性化するのに寄与できれば」と考えている。

<シャンパーニュをはじめとする世界のスパークリングワイン(スパークリング日本酒を含む)に特化したコンクール>と銘打っているあたり、なかなか面白い。試験内容は審査委員に任せてあり「予選参加者の方から、改めてスパークリングワインを勉強するよい機会になった」という声があがっている。

10月30日月曜日の14:30からの公開決勝は、誰でも観戦できる。また、表彰式は予約制のガラディナーの最中に行われる。ディナーとは別に、ポメリーをグラスで楽しめるイベントNUIT POMMERYも同時開催されるから、シャンパーニュ好きはお見逃しなく。

ソムリエコンクールおよび予選通過者の発表、決勝戦についてはこちらをご覧ください

表彰式・ガラディナー、NUIT POMMERY ポメリー・スペシャルナイトアウトに関してはこちらをご覧ください

 

<日本のスパークリングワイン市場>

ポメリーはすでに40年以上も日本市場で継続して販売されてきた。その間に市場動向も変化し、今では多くの人がスパークリングワインを楽しむ時代になった。「ひとつのブランドにこだわらず楽しむ人が増えている。また、広い層が消費していて、その楽しみ方も様々だ」と師井氏は感じている。だから、2015年からはヴランケングループのポートフォリオに加え、ポメリーブランドも日本で流通開始した。

ポメリーにも様々なラインナップがあるが、昨年は氷とともに楽しむ甘口の「ブルー・スカイ」が加わり好評を得ている。

「ファッションと同じで、オートクチュールのブランドだけでなく、個人的な好みに合わせて選び楽しむ人が増えている。シャンパーニュに加えスパークリングワインも含めて、好みや予算、T.P.O.に合わせてブランドやキュヴェを飲み分けている。スパークリングワインの品質も上がってきているので、今の時代ならではだと感じている」。

 

<日米限定リリースの新商品>

ポメリーは、すでにイングリッシュ・スパークリングワインのプロジェクトを開始したと発表している。2010年ヴィンテージからの造り手ハッティング・ヴァレーとの提携によるものだ。40haの畑で栽培を始めているが、まずはハッティング・ヴァレーがもつブドウから選びブレンドしたものが、おそらく2019年にリリースされるのではないかという。

 

英国版ポメリーができあがるまでにはまだ時間がかかるが、米国版はできあがっている。「9代目最高醸造責任者のティエリー・ガスコ(現在はクレマン・ピエルローが10代目最高醸造責任者を務めている)はカリフォルニアの様々なブドウを試し、ポメリーらしいフレッシュさとエレガンスを備えた産地を選んだ。ティエリーは特にシャルドネが好きで、メインとなるのはアンダーソン・ヴァレーのシャルドネとモントレーのピノ・ノワール。シャルドネが90%以上で、フレッシュな生き生きとした若さを楽しむために瓶内熟成は1年間」。3、4年前から始まっていたプロジェクトだ。

 

また、このスパークリングワインを造るのに特許技術が使われているという。瓶内二次醗酵用の酵母は、液体状酵母を球状のビーズに入れて添加する。直径1mmほどのビーズに小さなマイクロホールがたくさんあいている。酵母はその穴を通して果汁と反応するが、醗酵の役割を終えた後に死骸となった澱はビーズから出て舞うことがない。そのため、わずか15秒で澱を瓶口に集めることができ、ルミュアージュする必要がない。

この技術は1980年代から開発され始めていたようだが、改善して実用化させたのは今回のプロジェクトによるもので特許を取得済みだという。

アメリカで7月にリリースされ、日本でも8月1日に発売開始された。初出荷は数量が限られているが、年々増やしていけそうだと見込んでいる。こちらはシャンパーニュとは異なり「若い年代の消費者、あるいはリゾートやプールサイドで、ランチタイムで、といったシーンを想定している。気軽に、しかし品質のよいものを求める人へ届けたい」。

 

スパークリングワイン市場はまだまだ彩り豊かになりそうだ。(Y. Nagoshi)

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