- 2018-9-6
- Wines, その他 Others
ヴァッハウ渓谷から首都ウィーンに向かって流れるドナウ川沿いに広がるブドウ畑からオーストリアを代表するリースリングとグリューナーフェルトリーナーが生まれる。この地域に見られる壮大な多様性は、様々な地理的特徴とワイン生産者それぞれの理念によるもので、単一畑キュヴェの動きを活発化させる原動力ともなっている。特定の畑から生まれる質の高いワインを求める愛好家はここ20年で確実に増えている。
しかし、この動きはオーストリアで特別新しいというわけではない。20世紀初頭の複数のワインリストを眺めてみると、村や畑の名前がはっきりと記されており、歴史的にオーストリアのワインは生産された土地に因んで命名されていたとわかる。オーストリアで最も有名な畑のひとつであるカンプタールの”ハイリゲンシュタイン”は、1280年に初めて特定の畑として記されている。ウィーンにあるレストラン「ラートハウス・ケラー」で1916年に使われていたワインリストには、ブドウ品種や格付けよりも先に”ハイリゲンシュタイン”やウィーンの”ヌスベルグ”の畑名が記載されている。ヴァッハウ渓谷では、亡きヨーゼフ・ヤーメックは1960年に造った最初の補糖されていないピュアなリースリングのラベルに”クラウス”と畑名を表記した。
長年にわたり、オーストリアの産地では独自に組織を結成しそれぞれの産地特性を強調し、リースリングとグリューナーフェルトリーナーの最良の畑を格付けしてきた。
Vinea Wachau Nobilis Districtus (ヴィネア・ヴァッハウ・ノビリス・ディストリクトゥス)
ヴァッハウの「ヴィネア・ヴァッハウ・ノビリス・ディストリクトゥス」は1983年に設立された。著名なジャーナリストでオーストリアワインの専門家ダーヴィット・シルトクネヒトは「評判が良く長く続いている協会」だと評価している。広く受け入れられているオーストリアのアペレーションシステムで、ヴァッハウ産ワインの95%をカバーしている。コーデックス・ヴァッハウは6つの原則による統制呼称で、ライトボディから深み厚みのあるワインまでを示す3つの格付け「シュタインフェーダー」「フェーダーシュピール」「スマラクト」のトレードマークが登録されている。
オーストリアの伝統生産者(ÖTW Österreichische Traditionweingüter)
1992年に発足したÖTWは、全地域を包括する組織で現在36名の生産者が加盟している。その目的は、歴史的、主観的、相互主観的、経済的、相違ある、量的及び質的な特性など、特定の関連要素を考慮し、それぞれのアペレーションにおける最良の畑を格付けすることだ。この制度にはしっかりとした基盤があり、オーストリアでの畑の格付けを促進する原動力になっているようだ。このグループは、ワインの唯一性を決定する畑の基準を見つけることを常に最重要課題としてきた。今日では、60以上の畑がエルスト・ラーゲ(最良の畑)として格付けされており、ラベルには の印が表記されている。この名称と印はドイツのVDPドイツ・プレディカーツワイン生産者協会による格付けに相当する。そして今ÖTWでは、エルストラーゲの中でグローセ・ラーゲ(特級畑)を定義しようとしている最中だ。
今年6月ウィーンで開かれたヴィエヴィナムのイベントで、ウィーンとカルヌンタムの生産者がこの運動に加わり、ÖTWのメンバーは62名に増えた。
「Ried(リート)」はオーストリア語で単一畑を意味し、「Lage(ラーゲ)」と同義である。以下、西から東までオーストリアにおける最良のグリューナーフェルトリーナーとリースリングが生み出される畑を紹介する。
アンドレアス・ウィックホフMW プロフィール
2012年にマスター・オブ・ワインになり、その試験では4つのアワードも獲得した。オーストリアのプレミアム・ワイナリー・グループのマネージング・ディレクターを経て、現在ヴァイングート・ブリュンデルマイヤーのジェネラル・マネージャーを務めている。
つづきはWANDS 2018年9月号をご覧ください。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!
最近のコメント