2018年ワイン用ブドウ収穫情報(フランス、チリ)

<フランス>

フランス農業省がまとめた2018年産ブドウ収穫見込み(8月20日現在)は次の通りで、春の霜害と夏の雹害、干ばつなどで記録的な減収となった2017年比25%増、過去5年の平均収穫量と比べて5%増と予想している。2018年の春は雨が多く、ベト病が例外的に蔓延したため潜在収穫量の一部を失ことになったが、その後襲来した猛暑は現時点では収穫量に大きな影響を与えてはいない。

 

 

今年、特筆すべき事はベト病の影響だろう。春から蔓延し始めフランス全土のブドウ畑、特に大西洋岸、さらに地中海沿岸地域で猛威を振るった。これは、春から繰り返し襲った雷雨と6月まで続いた高温がベト病の繁殖を助けたためだ。しかし、7月入って猛暑が到来し、これがベト病の広がりを押さえる役割を果たした。ベト病の影響は色づき期以降にならないと正確には判断できないが、生育が早く、既に色づき期を迎えた地中海地方のブドウ畑では収穫予想を引き下げる方向の見直しが必要になっている。

 

結実不良が南西地方、南東地方、コルシカなどで少し見られたが、開花、結実は大部分の葡萄栽培地区で首尾良く進んだ。夏前の猛暑で色づきのリズムが緩慢になり、一部の地域では局地的に水分ストレスが生じたが、現時点では収穫量に与える影響は限定的と予想される。猛暑の終わり頃に南東地方、ラングドック・ルシヨン、南西地方など一部の栽培地域で豪雨があった。これらの雨が収穫量にどう影響するか今のところ正確に見極められない。

 

2018 年は殆どの栽培地域で生育の早い年となった。とりわけブルゴーニュ、ボージョレ、シャンパーニュ、アルザスは著しく生育が早い。8月20日時点の収穫予想量はAOPワインが2213万hl(前年比26%増、過去5年平均比9%増)。蒸留用ワインが8671hl(前年比27%増、過去5年平均比8%増)。IGP(ヴァン・ド・ペイ)が1181hl(前年比15%増、過去5年平均比4%減)。SIG(ヴァン・ド・ターブル)が346hl(前年比60%増、過去5年平均比4%増)。総合計4,608hl(前年比25%増、過去5 年平均比5%増)。

(以下略)

 

<チリ>

チリワイン用ブドウ栽培者協会がこのほど2018年ヴィンテージの収穫事情をまとめた。南半球のチリでは、2018年産の収穫を2月から始めて5月で終えている。ワイン製造量は2017年比20%増で、平年作より少し多かった。2017年は乾燥・旱魃・森林火災などで収穫量が大幅に落ち込んだが、今年は平年水準まで戻した格好だ。

(中略)

2018年期の収穫量は一般的に良好であったと言える。収穫量は横ばい、あるいは予想以上の結果が出ており、過去2年間の収穫レベルから回復した。とりわけ直近の過去2年の収穫と比較すると、大きな実をつけた重い房が生ったことが大きく寄与し、生産量が全般的に増加した。これは各ワイナリーの過去の生産記録に基づけば、通常の生産量に戻ったことを意味する。また、灌漑設備の有無で比較した場合、灌漑設備の無い土地で育ったブドウはほぼ平年並みの収穫量であったが、灌漑設備の整った畑では収穫量は増加しており、とりわけ中央部での収穫量は2017 年度から20%ほど増加がみられた。これは僅かだが平均的な年の収穫量よりも多かった。

(以下略)

 

つづきはWANDS 2018年10月号をご覧ください。
10月号は「日本ワイン・秋編」「ウヰスキーの新しい時代」特集です。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る