冷涼産地エルギンの注目株 シャノン・ヴィンヤーズ Shannon Vineyards

リンゴの名産地はワイン用ぶどう栽培に適しているといわれている。スチュワート&ジェームス・ダウンズ兄弟の両親は、エルギンで50年来リンゴと梨を栽培してきた。ジェームスがぶどうを植樹し始めたのは2000年のこと。徐々に増えて間もなく15haになる。

収穫時期になると朝方は一面霧に覆われるという

冷涼地エルギン

ウエスタン・ケープ州の最南端に位置するケープ・サウス・コースト地域は冷涼な気候で知られている。中でもオーヴァーバーグ地区からウォーカー・ベイとエルギンが独立してW.O.を認定された。エルギンはステレンボッシュとウォーカー・ベイに挟まれた地区で、海に面していないが冷涼な海風も入り込み、標高も高い。シャノン・ヴィンヤーズは260〜450mの地にある。だから、盛夏で最高気温30℃になっても夜間は15℃まで下がる。ハンギングタイムが長く、低いpHと高い酸度が保てる環境だ。加えて1〜3月までの間に南東から吹く「ブラック・サウス・イースター」と呼ばれるドライで冷涼な風が重要だという。湿気を吹き飛ばしてくれるからだ。

また、土壌は主に2種類で、ひとつは昔海底だったシェール(頁岩)。ここからはストラクチャーのしっかりとしたワインが生まれる。一方で、昔砂浜だったTMSと呼ばれるテーブルマウンテン由来の砂岩からは、アロマティックなワインが生まれる。だから、赤用の品種は両方の土壌で栽培しているが、白品種は主に砂岩土壌を選んで植えている。

 

兄で営業担当のスチュアート・ダウンズ(左)と栽培・醸造担当の弟ジェームス

華麗なるデビュー

ジェームスは、地元南アフリカの生産者だけでなく、ブルゴーニュ、ナパ・ヴァレーでも学び、チリではコノスルの「オシオ ピノ・ノワール」のプロジェクトにも関わった。また、2000年に植樹してから2007年に初めて自らのワインを造るまでの間は15のワイナリーにぶどうを販売していた。その中には有名なニュートン・ジョンソンやDGBグループなども含まれている。販売により収入があるだけでなく、ぶどうの品質についてとても良いフィードバックが得られることが身になりその後の準備にも役立ったという。

当初、エルギンの気候を考えてボルドーとブルゴーニュの間ぐらいだと判断し、まずピノ・ノワールとメルロを植樹した。どちらも果皮が薄く水に敏感で畑での扱いも似ている。白品種はソーヴィニヨン・ブラン、そして南アフリカワインの歴史の一部でもあるセミヨンを植えた。今、南アフリカでは冷涼産地でのセミヨンの植樹が増えているようだ。さらに最近シャルドネも始めた。それぞれ3haずつがベストだと考えている。

2007年の初ヴィンテージが、南アフリカワインのガイドブック「ジョン・プラターズ ガイド」で高く評価され、華麗なるデビューを果たした。以前コノスルでエクスポート・マネージャーとして活躍していた兄のスチュアートが実家に戻り、ジェームスと二人三脚で活動し、今では生産量の60%が輸出されている。ただ、今も畑の60%はリンゴと梨だ。ぶどうの販売も続けているが、自らワインにして販売するまでには年月がかかるためやりくりするのに必要だからだ。醸造は友人の設備を借りて造っているため、ワイナリーを建てるのが次なる目標なのだという。(Y. Nagoshi)

つづき(多彩なクローンの使い分け)はWANDS 2018年12月号をご覧ください。

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