チリのワイナリー「アレスティ」はクリコ・ヴァレーの一画、モリーナに本拠を構えるワイナリー。創業は1951年とこの地域では草分け的存在のひとつだ。このワイナリーで2005年からチーフワインンメーカーを務めているジョン・ウサビアガ氏が、イオンリカーが開催した「ワールドワインフェス2018」に合わせて来日したのを機に、同社のワイン造りについて話を聞いた。
アレスティは、サンチャゴの実業家、ヴィンセント・アレスティ・アスティカが興したワイナリー。サンチャゴから南へ200Km下ったこの地は美しい景観をもち、アンデスから吹き抜ける風が日中の空気を冷やし、肥沃で豊かな水がブドウ栽培に適していると判断したのがそもそものきっかけだった。当初は大手生産家へバルクワインを販売していたが、1999 にボトリング施設などを拡充し、本格的に自社ブランドによる販売を開始した。現在は、ヴィンセントの二人の娘、アニータとベゴーニャがワイナリー経営を引き継いでいる。
クリコ・ヴァレー一帯に1100haのエステートを擁し、その内400haがブドウ畑。また、生産量約1000万ケース(ターゲットベース)を賄うためにレイダやマイポ、カチャポアル各地の長期契約農家から毎年、約800トンのブドウを購入し、ワインに仕立てている。生産量の約95%は世界60か国弱に輸出されている。
クリコ・ヴァレーは生育期における昼夜の寒暖差がおよそ20℃もあるが、アレスティでは主に4つの畑で適地適品種を栽培。ワイナリーに近いベッラヴィスタ畑は小石混じりの沖積土壌でここではソーヴィニヨン・ブランとゲヴュルツトラミナー。やや温暖で表土1m下に岩盤をもつ粘土ローム層土壌のミカエラ畑ではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロ、シラーなどの赤品種。緩傾斜のペニャフロール畑は酸性土壌でカルメネールを主体にカベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、そしてごく少量のピノ・ノワールとメルロ。さらに、うねった丘陵地帯に拓かれたラ・レセルヴァ畑ではソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ゲヴュルツトラミナーなどを栽培している。
チリでは今のところマイナーな品種の実験栽培も実践中で、ヴィオニエやプティ・ヴェルド、プティ・シラー、マルサンヌ、ルーサンヌなどの可能性と栽培適地の研究を進めている。
ピノ・ノワールといえば、チリではカサブランカやレイダなどが冷涼栽培地として知られているが、「クリコのピノ・ノワールはブドウがよく熟し、極めて優れたとは言えないものの魅力的なワインができる」のだという。
アレスティのブドウ栽培におけるもうひとつの特徴は、持続可能なサステイナビリティの実践。密植栽培や低収量での収穫、地中の湿度や水分量をモニタリングし灌漑のタイミングをコントロール、区画ごとに異なるキャノピーマネージメントや赤外線センサーを活用した精密農法の実践。また、農薬や醸造時の添加物を必要最低限に抑え、安全や安心に関する国際的な認証コードをいくつも取得している。
つづきはWANDS 2019年1月号をご覧ください。
1月号は「ブルゴーニュワイン、イタリアワイン、ウイスキー」特集です。
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