レア・シャンパーニュ2006

漆黒のボトルに黄金のティアラが眩く光り輝く「レア」。シャンパーニュ界のレジェンドが2002年の次に選んだ類稀なヴィンテージは、「太陽の年」とされる2006年だった。

 

43年間でわずか9ヴィンテージの「レア」

1976年の初ヴィンテージから43年の間に、フランス本国で今年発表された2008年のロゼを含めてもわずか9ヴィンテージしかリリースされていない、きわめて「稀」なるシャンパーニュがその名も「レア」。かつてはパイパー・エドシックのプレステージ・キュヴェという位置付けだったが、市場的にもスタイル的にも大きく異なることから、昨年より「レア・シャンパーニュ」というブランド名を得て独立した。

パイパー・エドシックのシェフ・ド・カーヴには若手のエミリアン・ブティヤが就任。一方、長年、パイパー・エドシックの品質向上に努め、IWCのスパークリングワインメーカー・オヴ・ザ・イヤーを通算8回受賞するレジス・カミュは、レア専任のシェフ・ド・カーヴとして現役を続行する。

そのレジスに「レア」とは何かと問えば、5つの「サイン」というべき特質があるという。それは「Raffinement(洗練)」「Délicatesse(繊細)」「Complexité(複雑)」「Fruits exotiques(エキゾチックフルーツ)」「Epices douces(マイルドスパイス)」の5つ。一見するとそれぞれ相反するように見えるが、これらが液体の中でテニスのラリーのように打ち返し合い、見事な調和を構築するという。

ではこのようなレアのスタイルを得るために、彼がしなければならない作業とは? それは入念なるアッサンブラージュのひと事に尽きる。すべてのベースワインを最初にブラインド試飲した段階で、レアとなり得る上記の特質をもったワインをキープ。その後何度も試飲を繰り返し、これならばレアが造れるとの最終的判断を、収穫翌年の4月に下す。

レアはシャルドネとピノ・ノワールが必ず7:3でアッサンブラージュされる。この7:3こそレジスが譲れない黄金律で、いかなる年でもこの割合が守られる。言い換えれば、この黄金律実現のために、シャルドネとピノ・ノワール、それぞれのアッサンブラージュの段階で、微に入り細を穿つチューニングが必要となる。彼はアッサンブラージュをパズルに例え、「クリュというたくさんのピースが、ひとつとして欠けることなくきれいにつながることが重要」と語る。

 

太陽の年でもフレッシュさを保つ2006年

レジス・カミュ
1954年生まれ。生物学と生化学を学んだ後、ランス大学で醸造学の学位を取得。1994年、パイパー・エドシックに入社。2002年にシェフ・ド・カーヴに就任し、2018年からはレア専任のシェフ・ド・カーヴとなる。

そのレアの最新ヴィンテージが、夏の日照と暑さを特徴とする太陽の年、2006年だ。このようなヴィンテージに洗練さや繊細さを保つのは至難の技。ではその鍵は何か?「クリュの選択です」とレジス。「モンターニュ・ド・ランス東部のプルミエ・クリュ、ヴィレール・マルムリーやトレパイユのシャルドネが役立った。これらのクリュのシャルドネはとても溌剌とし、寛大な2006年に新鮮味を与えてくれます」。

味わってみれば、13年もの熟成がとても信じられないほど闊達で生き生きとしており、しかしその一方、太陽の年を象徴する豊かな果実の風味や蜂蜜のニュアンスも広がる。シャンパーニュ界のレジェンド、レジス・カミュの熟練技が生み出す珠玉の一本である。この次には、性格を異にする2008年が控えているという。(Tadayuki Yanagi)

輸入元:日本リカー

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<レア2006年>

深い色調をもち、パイナップルやマンゴーなど熟したトロピカルフルーツや蜂蜜の香り。滑らかな口当たりで、豊潤な味わいだが、角の取れたきれいな酸味がフレッシュさを醸し出す。余韻には柚子のような柑橘の風味とわずかに漂う塩キャラメル。ドザージュは8~9g/l。

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