サントリー、アサヒなど12社、使用済みプラ再資源化に向け新会社設立

サントリーホールディングスはじめ、プラスチックのバリューチェーン(価値を提供する流れ)を構成する12社は、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社「アールプラスジャパン」(東京・港区)を設立し、6月から事業を開始した。
6月30日に出資元から3社の代表と新会社の経営陣が出席して、WEB会見で概要を説明。アールプラスジャパンは、ウッドチップなどからつくるバイオプラスチックの開発技術を持つアメリカのバイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社の、使用済みプラスチックからプラスチック粗原料を生成する新技術の開発を支援する。2027年までに商業プラントを建設して、新技術による使用済みプラスチック再資源化を実用化させる計画。

使用済みプラからプラ原料を生成する新技術
環境問題などから世界的に、使用済みプラスチックの削減や再利用化が急がれている。日本では年間約900万トンの使用済プラスチックが発生するうちの86%が再利用されているものの、6割にあたる524トンはサーマルリカバリー(熱利用)として燃焼させるため、認識の違いを指摘されることがある。

アネロテック社の新技術では、使用済みプラスチックからプラスチック粗原料(エチレン、プロピレン、キシレンなど)を生成し、プラスチック最終製品まで少ないロスで再利用できるというもの。また従来の油化工程を経由するケミカルリサイクルよりも少ない工程で処理できることから、CO2排出量やエネルギー必要量の抑制につながるものと期待されている。
サントリーグループでは2012年からアネロテック社と、植物由来原料100%使用ペットボトルの共同開発に取り組んできたなかで、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術の開発可能性を見出すことができた。ペットボトルのみならずその他のプラスチックもリサイクルによる再生循環利用への道が開けると考えたことから、サントリーの呼びかけに賛同した東洋紡、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、大日本印刷、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所との共同出資で新会社を設立した。今後も広く出資を募る予定で、現在、住友化学なども出資への検討を進めている。
声かけ役となったサントリーHDの新浪剛史社長は「プラスチック問題は先送りできない緊急の課題。G20やダボス会議でも活発に議論された世界的な課題に、日本からテクノロジーの面で協力したい。現在、使用済みプラスチックの多くは熱エネルギーとして再利用されているが、熱利用でなく素材として効率的に再利用する。そのような新技術の実用化に向け、新会社が支援していく」と説明した。

アールプラスジャパンではアネロテック社とともに、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発を推進。実用化ののちにはアールプラスジャパンが新技術のライセンスを保有し、処理プラントにライセンスを貸し出すかたちで事業収益を得るようにする。社長に就任した横井恒彦氏(サントリーMONOZUKURIエキスパート執行役員)は「今回の新技術は、プラスチック原料の混在や残渣等があっても原料の再生ができ、環境負荷やロスが少ないことが特長。日本から課題解決を提案し、世の中にお役立ちしたい」と力強く話した。

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