長野ワイン特集/塩尻市の取り組み

長野県の塩尻市は、ブドウ生産とワイン産業振興に力を入れている自治体のひとつだ。塩尻市産業振興事業部 ブランド観光課の赤羽誠治 地域ブランド専門幹に、その取り組み内容と展望を聞いた。

 

畑を繋ぐマッチング

赤羽専門幹もブドウを栽培していて、その中にはメルロもあるそうだ。ちょうど訪れた日は、東京からの訪問者には寒く感じたが、地元の人にとっては「それほど」でもなかったようだ。かつては氷点下20℃の日が10〜20日続き、眠り病(凍害)でブドウが枯死することがあったが、ここ数年はない。かえって夏の気温の高さが心配で、より標高の高い場所でのブドウ栽培が始まっているという。

塩尻市では、6年ほど前から農業全体の後継者不足が課題となっていた。ここでは、ブドウやリンゴなどの果樹、高原野菜、稲作といった複合農業を営むのが常だ。この中で一番収入がよいのは野菜で、300万/aになる。生食用ブドウでさえ50万/aで、比べものにならない。農業離れが加速する中で、ブドウ栽培は農業従事者にとって魅力ある商材とは言えないのが実情だ。

塩尻市には300haのブドウ畑があり、その内270haほどが醸造用だ。生食用は外観重視で手間暇がかかるから多くはない。醸造用ブドウの中では、桔梗ヶ原が有名になったおかげでメルロが最も高価だが、それでも40〜45万/10aだ。かつて全体で400haあったブドウ畑をこれ以上減らしてはならないと、農政課は6年前に果樹産地保全支援員を雇用すると決めた。

この支援員は、農家を訪問して聞き取りを行う。高齢で畑を続けられないという農家にあと何年できるのか確認し、地図上でそれぞれの所在地にシールを貼っていった。3年であれば赤、5年なら黄、7年は緑だ。例えば、最初に調査した広丘(ひろおか)は70%が黄だった。

そして、反対にブドウ栽培をしたい、畑を探していると農政課に相談に来る人とのマッチングをしてきた。対象は個人、農業法人、ワイナリーなど様々だ。

この結果、いくつかのマッチングが成功し、ワイン用ブドウ畑が300haぐらいまで戻る可能性が出てきた。まずは現状を維持し、プラスαにしていければと考えている。

 

塩尻ワイン大学

塩尻市では2014年にワイン大学を開講し、今春で5年目に入る。日本ワインを牽引する人材育成を目的にしており、3年間で年に11回それぞれ2日間で講義と実習を行っている。塩尻市内でワイナリーを新設したい人、あるいは既存のワイナリーの担い手候補、醸造用ブドウ栽培に取り組みたい人などが通っている。(つづく)(Y. Nagoshi)

トップ画像:10年前からの地域ブランド戦略で、市内にワインバーが30軒以上に増えた。「ワインが買える店」「ワインが飲める店」の看板やマップも作成しており、持ち込み可能なB.Y.O.を実践する飲食店も中にはある。

つづきはWANDS 2018年2月号の長野ワイン特集をご覧ください。 ウォンズのご購入・ご購読はこちらから デジタル版も合わせてご活用ください!

 

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