信州マルス蒸留所のシングルモルト『駒ヶ岳』ブランドから新シリーズ

「信州の自然シリーズ」の第一弾商品『シングルモルト駒ヶ岳ネイチャーオブ信州竜胆(リンドウ)』

「信州の自然シリーズ」の第一弾商品『シングルモルト駒ヶ岳ネイチャーオブ信州竜胆(リンドウ)』

19年ぶりに再稼働した本坊酒造信州マルス蒸留所から『シングルモルト駒ヶ岳ネイチャーオブ信州竜胆(リンドウ)』(abv52%、700ml、参考小売8964円、限定瓶詰本数8200本)がリリースされた。

20年以上長期熟成されたオールドエイジのモルト原酒と2012年蒸留のモルト原酒をヴァッティングすることで、新旧モルトの調和をめざした「信州の自然シリーズ」の第一弾商品。ブランド名およびメインラベルのデザインは地元長野県の県花である「竜胆」をモチーフにした。

 

同社は国産ウイスキー誕生の一翼を担った岩井喜一郎氏の設計・指導のもと、1960年に山梨工場(現・山梨マルスワイナリー)内にウイスキー蒸留設備を敷設。1985年には地ウイスキーブームを受け、長野県上伊奈郡宮田村に信州マルス蒸留所を新設し、蒸留釜などの設備を山梨工場から移設した。

ウイスキー需要低迷期にはモルト原酒の蒸留を休止していたが、2011年には19年ぶりに蒸留を再開。2014年には3年間熟成させた待望のリバイバルウイスキー『THE REVIVAL(ザ・リバイバル)2011シングルモルト駒ヶ岳』をリリースする一方、同年11月には半世紀以上経過した蒸留釜を更新。仕込み回数を増やし、事業活動を拡大している。

 

なお、テレビドラマ“マッサン”では触れられなかったが、岩井喜一郎氏は大阪高工(現、大阪大学醸造学科)の後輩だった竹鶴政孝氏を、自らが常務をしていた摂津酒造に誘い、本格スコッチウイスキーをつくるためにスコットランドに派遣した経緯がある。

このため、岩井氏設計の蒸留釜は、竹鶴政孝氏がスコットランドでのウイスキー研修成果をまとめた「竹鶴ノート」がベースとなっている。その形状が余市蒸溜所、山崎蒸溜所の初代蒸留釜と似ているのはそのため。半世紀ぶりに更新した新しい蒸留釜もその教えを引き継ぎ同じものを再現した。

 

同社では今回の「信州の自然シリーズ」に加え、さらに今年から来年にかけて、信州マルス醸造所で製造されたモルト原酒を鹿児島の津貫、屋久島でそれぞれ貯蔵・熟成させた「エイジングシリーズ」や、海外の調達モルトも活用しながら、世界の五大ウイスキー全てをブレンドするという発想による「ワールドモルト・ブレンデッド」をシリーズ化する考えだ。(A. Horiguchi)

画像:半世紀ぶりに更新した信州マルス蒸留所の蒸留釜(右から初留、再留)。美しいストレートヘッドのスワン型。現在では10月から5月までのフル稼働の状態という

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