試飲会ミニレポート 正光社&ボデガス・ヴェルム

6月1日、スペインとポルトガル専門のインポーターである正光社が単独試飲会を東京の「リザラン新橋店」で開催。同社のワイン事業部部長の原田政彦さんとは5月のFENAVIN(シウダーレアルで開催されたスペイン最大のワイン展示会)の折に現地で会い、ワイナリーのボデガ・ヴェルムに訪問同行いただいた。試飲会ではスペイン料理レストランのシェフやソムリエなど、飲食関係者の姿が多く見られた。コロナ禍を経て久しぶりの試飲会開催に、来場者たちも活気づいている様子だった。

幻想的な夜明けのラベル(右から2本目)はペネデスのペティアン・ナトゥレ(ペット・ナット)の「ラルバ・アル・トゥロ 2021」。SO2無添加、無濾過、無清澄で、やわらかい口当たりが特徴。

イビサ島の「ibizkus」のロゼと赤は、島産のワインらしい、心地よい塩味を感じるモナストレル。ミッドパレットに生き生きとしたミネラル感。イビサはニッチな産地と思われるが、ワイン造りの歴史は紀元前のフェニキア人の時代から始まっている。

冒頭で述べたラ・マンチャのボデガス・ヴェルムについては会場奥に「ウルテリオール」のブースが設置されていた。ラ・マンチャと言うとスペインでもとくに大量生産のイメージが強い土地だったが、オーナーのエリアス・ロペス・モンテロ氏らが2007年から始動した「ウルテリオール」のプロジェクトでは、石灰岩の豊富な40haの自社畑で、ラ・マンチャの未来を創出すべく高品質のワイン造りに取り組む。マスエロやティント・ベラスコなどスペイン固有の単一品種シリーズで、アンフォラで熟成し、総じてエレガントに仕上げたファイン・ワインである。高級フレンチでも十分に通用する味わいであると、ワイナリーでの試飲と、今回の試飲会で重ねて感じた。

ウルテリオール。ラベル下のナンバーは畑の区画の番号を指している。

 

ヴェルムのオーナーで醸造責任者のエリアス・ロペス・モンテロ氏

ガルナッチャは50%全房発酵。飲めばこの品種の印象が大きく変わるかもしれない。ピュアで滑らかなテクスチャー、チェリーやプラムなどのみずみずしい果実の味わいを楽しめる。可憐で涼やかなブルゴーニュのピノ・ノワールと言われても信じてしまいそうだ。ヴェルムのオーナー、エリアス氏の話では、このガルナッチャはプレス機は60年以上前に使われていた回転式の古い機械を使う。これによってブドウの実に垂直の力がかからず、全方向からやさしく圧搾できると言う。オーガニック栽培で、ブドウがもつ本来のおいしさを極力無理なく体現するのが彼らのスタイルだ。海外ではジャンシス・ロビンソンをはじめ著名な評論家がヴェルムのワインを高評価し、彼らがラ・マンチャのワインを再発見するきっかけとなった。日本でもスペイン専門店ではすでに注目を浴び、まさに今のスペインの若手を代表する造り手である。

左から正光社の原田政彦さんと、ボデガ・ヴェルムのマーケティング・ディレクターのルイス・フェルナンデス氏、「スペインワインと食協会」代表であり、またヴェルムの一員として魅力を発信する原田郁美さん

この5月のFENAVINと現地ワイナリー訪問レポートは、後に弊誌の誌面でもお届けする。

(N. Miyata)

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