スペインのバスクの地酒 爽やかでソルティーな白ワイン「チャコリ」を純和食と

チャコリは、千年以上の歴史があるバスク地方の地酒だが、かつては瓶詰めされることなく自家用消費されていた。19世紀のフィロキセラによりほぼ壊滅状態となっていたところ、20世紀末からビスカイア地区を中心にして復活し始め、今では伝統的なタイプ(微発泡でとても軽快な味わい)だけでなくモダンなタイプ(完全なスティルワインで厚みのある味わい)も出てきている。

昨年3月に現地を訪問した際、チャコリの白ワインを地元の食材と楽しんだ。中でも自家製のアンチョビをおつまみに、という組み合せは最高だった。ほどよい塩気と海の旨みが、何ともいえない相性だったのだ。そういえば、ムール貝のワイン蒸しもよかったし、まるで日本で食べる魚の開きの塩焼きのようなグリル料理とも美味しかった。ともあれ魚介料理の素晴らしい友となる。

3月初旬に輸入元いろはわいんが、チャコリの3つのDOから生産者を招聘し、寿司、天ぷら、蕎麦など純和食との組み合せを披露した。

いろはわいんの寺田代表を囲む生産者

いろはわいんの寺田代表を囲む生産者

1994年に初めてDOに認定された「ビスカイコ・チャコリーナ」は、大西洋に面したビスカイア県より造られる。「イチャスメンディ」が造る白は、主要品種のオンダラビ・スリにオンダラビ・セラティアを50%ブレンド。香りも味わいもしっかりとしてまろやか(集合写真の左端)。

栽培面積では筆頭の400haを誇る「ゲタリアコ・チャコリーナ」も大西洋に面し、ビスカイアの東側にあたる。「イルスタ」の白は、伝統的な微発泡で軽やかなタイプもあるが、ベレシアBereziaという銘柄は優れた2区画から厳選したオンダラビ・スリ100%で、4か月シュール・リーを行ったもの。こちらはクリーミーな食感が印象的だった(集合写真の右から2番目)。

内陸の「アラバコ・チャコリーナ」からは「アストビサ」が参加した。天然の微発泡をそのまま封じ込めた新商品ゾッラZollo(メイン写真のクジラのボトル/集合写真の右端)は、心地よいフレッシュな食感で日向夏的なほんのりとした苦みがあり、食事に合わせやすい。

微発泡のものも含め、爽やかな酸といわゆるミネラルが感じられるため、純和食とも自然体で合わせられるというのが正直な感想だった。春から夏にかけて重宝しそうなアイテム揃いだ。(Y. Nagoshi)

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