戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン 11月18日(金)よりロードショー

11月18日(金)より、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー

予告編

レバノン生まれのワインは、日本でメジャーとは言えないが品質の高いワインが輸入されている。残念なことに故セルジュ・ホシャール氏には会える機会はなかったが、彼が造る「シャトー・ミュザール」は何度も飲んだことがある。「シャトー・マーシャス」を造るサンドロ&カリム・サーデ兄弟(シリアのドメーヌ・ド・バージュラスも)には、来日時に会いワインの話を聞いたことがある。今回の映画の披露会で、「シャトー・クーリ」と「ドメーヌ・デ・トゥーレール」も試飲できた。

こういったワインをどのような環境で造っているのか、話には聞いたことがあるし文字でも読んだことがある。しかし、映像で見ると実にリアルだ。とくに、繰り返し出てくるキーマンとも言える故セルジュ・ホシャール氏の言葉は、ひとつひとつが深い。例えば、こんな言葉だ。

「ワインは実に偉⼤な師だ。⼈々の⼼を通わせるのだからね。⼼が通えば平和になる。戦争はしない」

レバノンで命をかけてワイン造りを続けている生産者だけでなく、イギリスのワイン評論家やアメリカのベストセラー作家なども登場する。胸が締めつけられそうな部分がありながら、レバノンの人々の優しさや強さ、人間味を感じられるドキュメンタリーで、見終わる頃にはレバノンを訪問したくなっているかもしれない。(Y. Nagoshi)

シャトー・ミュザールの故セルジュ・ホシャール氏。

シャトー・ミュザール

シャトー・クーリ、ドメーヌ・デ・トゥーレール

ドメーヌ・ド・バージュラス、シャトー・マーシャス

【クレジット】

監督:マーク・ジョンストン、マーク・ライアン

脚本 : マーク・ジョンストン、マーク・ライアン、マイケル・カラム

プロデューサー:マーク・ジョンストン

製作総指揮:セルジュ・ドゥ・ブストロス、フィリップ・マスード

撮影:マーク・ライアン

音楽:カリム・ドウアイディー

編集:マレク・ホスニー、マシュー・ハートマン

出演:セルジュ・ホシャール、マイケル・ブロードベント、ジャンシス・ロビンソン、エリザベス・ギルバート、ミシェル・ドゥ・ブストロス、サンドロ・サーデ、カリム・サーデ、ジェームス・パルジェ、ジョージ・サラ、ジャン=ピエール・サラ、ナジ・ブトロス、ジル・ブトロス、ロナルド・ホシャール、ガストン・ホシャール、ファウージ・イッサ、サミー・ゴスン、ラムジー・ゴスンほか

配給:ユナイテッドピープル

95分/アメリカ/2020年/ドキュメンタリー

オフィシャルホームページ

映画制作の背景

2013 年、映画監督のマーク・ジョンストンとマーク・ライアンは、マイケル・カラム著の『レバノンのワイン』(原題:Wines of Lebanon)に触発され、謎めいていて、誤解されがちな中東の⼩国レバノンに対する認識を変えるべく、レバノン各地のワイン⽣産者たちの話を聴く旅に出ました。

ジョンストンとライアンは、1999 年に南カリフォルニア⼤学の映画学校で出会いました。2014 年、彼らは初の受賞作となるドキュメンタリー『The Invisible Front』を発表しましたが、そのときすでに彼らはレバノンで⼈々の勇気、冒険、決意の物語を記録していました。そして、レバノンでマイケル・カラムと出会い、チームが2 ⼈から3 ⼈になったのです。

私たちはレバノンの起業家たちのたくましさを、ワインという切り⼝で表現した映画を作ろうと考えました。紀元前2 世紀、古代レバノン⼈であるフェニキア⼈が、その素晴らしい貿易帝国によって、世界にワインという贈り物をしたときから、この物語は始まっています。彼らは世界初のワイン商⼈なのです。

彼らが地中海に広⼤な商業ネットワークを構築した主な理由は、その後の数世紀にわたるレバノン⼈と同様、⾃国が常に不安定であったため、繁栄を求めて国外に出なければならなかったという理由が挙げられます。レバノン⼈は危機管理の達⼈です。この能⼒は数千年にわたり、戦争、飢餓、占領、政治的不安定の中でワイン造りを続けてきたレバノンのワインメーカーたちが体現しています。

実際2020 年夏ごろ、レバノン⼈は、経済破綻と新型コロナウイルスの⼤流⾏という⼆重苦にすでに⾒舞われていましたが、ベイルート港で2700 トンの化学物質が爆発し、⾸都が破壊され、数百⼈が死亡し数千⼈が負傷するという更なる痛⼿を受けてしまいました。それでも彼らは乗り越えようと努⼒しています。

私たち3 ⼈は、7 年かけてレバノン、フランス、アメリカ、イギリスを合計10 回訪問し、35 ⼈のワインメーカー、4 ⼈の考古学者、7 ⼈のワイン評論家、⼩説家、そして修道僧にインタビューしました。その中には1975 年から1990 年の内戦という暗⿊の時代にワインを造り、輸出するという決意を持ち、レバノンを世界のワイン地図に刻んだシャトー・ミュザールの魅惑的なオーナー兼ワインメーカー、故セルジュ・ホシャールだけでなく、1982 年のイスラエルの侵攻とブドウ畑上空の空中戦に耐えた故ミシェル・ドゥ・ブストロスとフランス⼈ワインメーカー、イヴ・モラールも含まれています。また、1983 年に500⼈の住⺠が殺害された⼭間の町ブハムドゥンにブドウの⽊を植えたシャトー・ベルヴーのナジ・ブトロス、2006 年のヒズボラとイスラエルによる夏の戦争の間、ブドウの⽊とともに過ごしたマサヤのラムジー・ゴスン、その他、最近ではISIS とシリア内戦という不安定な情勢下で⽣活し働く多くのワイナリーオーナーたちが登場しています。

また、ワイン評論家のジャンシス・ロビンソンMW と故マイケル・ブロードベントMW、ニューヨークで活躍するソムリエのポール・グリエコ、考古学者のヘレン・サーデル博⼠、パトリック・マクガバン博⼠、ローラ・サロームに話を聞きました。さらに、レバノンやレバノンワインと特別な関係にある『⾷べて、祈って、恋をして』の著者エリザベス・ギルバートにも話を聞きました。

レバノン、ワイン、戦争をテーマにしたこの映画は、7 年の歳⽉をかけて⾒事に熟成れ、地球上で最も古いワイン⽣産地のひとつであるレバノンについて、明快かつ複雑なストーリーに仕上げることに成功しました。

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