ブルゴーニュ特集/ブシャール・ペール・エ・フィス Bouchard Pere & Fils

スター選手はいないブシャール すべてはチームで成し遂げる

 

ボーヌの街を歩いていると、分厚い壁に囲まれた広い庭と古い建物が目に入った。15世紀から国王の軍事要塞として使われていた敷地を、1820年にブシャール家が購入したものだ。この由緒あるワイナリーは、1995年にシャンパーニュのジョセフ・アンリオに買い取られてから再興を果たし、名声を取り戻した。

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<ブシャールの栄光>

今回案内してくれた輸出担当マネージャーの西山雅巳、醸造長のフレデリック・ヴェベールは、共に猛暑の2003年に入社した同期にあたる。ワイン造りの現場は、2005年からは歴史漂う荘厳な古い館ではなく、サヴィニー・レ・ボーヌに新設された地上1階地下2階建ての醸造所へ移り、新体制が更に進んでいる。

しかし、ブシャールには誇るべき歴史がいくつも残っている。そして、アンリオ傘下になってからも引き続き一員として留まることになった創業家ブシャールのメンバーから、輝かしい軌跡を伝え聞いているという。

例えば、地下貯蔵庫の一角には暗号のような番号がふられた札が幾つもついた棚がある。埃かぶった古酒があった。1846年から毎年、生産量の1%分を将来のためのストックとして保管している空間だった。ここの顧客の大半はフランス国内のレストランのため、この貴重な在庫がまさにお宝として活躍している。

あるいは酷暑の2003年は、収穫が8月21日から始まった。もともとブシャール家はワイン商の前に織物商を営んでおり、扱う生地について克明に記録を取る習慣がついていた。そのため葡萄やワインについての台帳にも多くの記録が残されている。そこで、同じような暑いヴィンテージを探すと、1865年は8月19日に収穫開始したとわかった。補酸の技術がなかった当時のワインを開けてみたが、まだワインの形を保って生きているのが確認できたため、2003年も補酸をしないでおこうと醸造チーム全員一致で決定した。(Y. Nagoshi)

つづき <アンリオ傘下、そして自社畑の拡大> <ブシャールのスタイル> <新醸造所> につきましては、ウォンズ5月号26〜27ページをご覧下さい。ウォンズのご購入、ご購読はこちらから。

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