ビール酒造組合の西田新会長が会見、市場対応、アルコール関連問題など活動方針示す

8月からビール酒造組合会長代表理事に就任した西田英一郎氏(サントリービールカンパニー社長)は24日に都内で会見し、組合の活動状況や取り組みに関する課題と今年度の方針を示した。

市場対応=消費者の生活防衛意識が高まるなか、10月には2回目の酒税改正が行われる。酒類業界は各社一丸となってこれまで以上の取組みを行っていくことが重要だ。業界の活性化に向けた取り組みと、社会的責任を果たしていく取り組みの両輪をいかに回していくか。各社個別活動に加え、業界全体でビールの魅力や楽しさを伝えていくことを検討していく。

アルコール関連問題=組合ではアルコール関連政策への関与と啓発活動の実施により、適正飲酒の推進に取り組んでいる。
世界的な動向について、WBA(世界のビール組合連合組織)やIARD(責任ある飲酒のための世界連盟)の仲間から情報を収集。国内では酒中連の一員として、アルコール関連の政策に意見・提言している。有害な飲酒を低減させるための取組みを推進することで、酒類を製造・販売する企業としての社会的責任を果たし、国内外のアルコール関連の政策に関与していきたいと考えている。
また国内における「第2期アルコール健康障害対策推進基本計画」に基づき、20歳未満飲酒防止や女性の適正飲酒等の、アルコールの有害な使用を低減させるための各種啓発活動に取り組んでいく。「STOP!20歳未満飲酒プロジェクト」活動は認知率が上がっており、今年はメッセージを刷新することで啓発したい内容を強化。楽興教育支援ではHPコンテンツ公開などの情報発信、教育支援ツールの提供を実施。20歳未満の飲酒率はこの10年で大きく低下しており、成果が伺える。
ビール業界としてマーケティング活動を継続しつつも、アルコール関連問題にも自主的に対応していくことが重要であると考える。今後も啓発活動の方向性、また純アルコール量の容器への表記やデジタル広告への配慮等の議論を深め、取り組みを強化していく。

公正取引推進=組合では「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」、「ビールの表示に関する公正競争規約」を自主的に定め、その適正な運用に向けて、委員会や全国各エリアの支部調査員との合同会議を通じ、公正な競争環境づくりに努めるとともに、公正な取引を継続して推進していく。

物流効率化=トラックドライバーの時間外労働の上限規制が2024年4月から施行され、輸送力低下が懸念される、いわゆる「2024年問題」に対し、ビールメーカー内に限らず、国や卸業界等の支援・協力を得て、業界最適な物流環境の構築を目指す。政府からは物流の最適化・生産性向上に向けたガイドラインが示されており、その実行をベースに、受注締め日から納品までのリードタイムの延長(D2)の推進や、長時間待機・付帯作業の削減など、当面は商品の安定輸送を実現するための課題解決に重点を置いて取組を進める。
物流課題の解決にあたっては、卸売店との協力体制を深め、メーカー・卸・小売のサプライチェーンの協力体制を発展させ、業界最適のサステナブルな物流環境の実現に努める。またPパレの円滑な需給体制の構築に向けた取り組みを継続する。

酒税に関する要望活動=ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税率は段階的に見直され、2026年10月に1㎘あたり155,000円に統一されることになっている。しかし、統一される税率は他の酒類と比べ依然として格差があり、諸外国と比べても高い。このような酒税改正後の税率構造を踏まえ、ビール酒造組合はビール発泡酒のさらなる減税を引き続き要望する。

このほか、環境への取組み、原料に関する取り組み、技術力向上への取組み――を主な活動に挙げた。

 

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