aicep主催、原宿「野田」でプレミアムポルトガルワイン10種

「キンタ・ド・パラル ヴィニャス・ヴェリャス 2018」とパクチーの天ぷら、アオリイカとシャインマスカットを添えて。

 

ポルトガル投資貿易振興庁(aicep)は2023年11月1日と2日、プレミアムポルトガルワインのプレスディナーを開催した。aicep駐日代表でポルトガル大使館経済参事官のミゲル・ガルシア氏が、美食に寄り添うポルトガルワインを紹介。会場は原宿の「野田」だ。「kiki harajuku」がリニューアルオープンした店で、野田雄紀シェフが腕をふるう。ガルシア氏は、かねてより野田シェフの料理に感銘を受けていた、と話す。野田シェフはこの場にと、ポルトガル料理のエッセンスを取り入れたオリジナルメニューを用意。ポルトガル料理は、ガルシア氏とポルトガル政府観光局の局長イネス・ケイロース氏が野田シェフに伝授した。「米料理や天ぷらをはじめ、日本食との共通性があって興味深い」と野田氏。

供されたワインは10種。セレクトはポルトガルワインの第一人者である別府岳則氏(Wine in Motion 代表)。アソーレス諸島のピコ島のワインをはじめ、興味深いラインナップだった。※ここで紹介するワインは、11月1日に提供されたもの。

野田雄紀シェフ(左)とミゲル・ガルシア氏


 

トゥリガ・ナショナルのスパークリングワイン

最初に供されたのは、スパークリングワイン「ムルガニェイラ / トゥリガ・ナショナル ブリュット 2011」(輸入元:木下インターナショナル)。54か月熟成。産地はポルトガル中部のタヴォラ・ヴァローザ。1989年、ポルトガルで初めてスパークリングワインの産地として制定された。イチゴ、熟れたメロン、トーストの香り。トゥリガ・ナショナルらしい力強さを感じつつもテクスチャーは柔らかい。後味に塩味を感じる。ペアリングは「甘くないレアチーズケーキ」と。ポルトガル中部のヤギのチーズで、その柔らかい触感と塩味が、ワインに馴染む。

 

毛ガニと合わせたピコ島の白「ペ・ド・モンテ・リゼルヴァ」。

火山島ピコ、ミネラル感たっぷりの白

ピコはリスボンの西1,500km、大西洋に浮かぶアソーレス諸島の火山島だ。強い海風からブドウを守るため畑は石垣に囲まれ、その風景が世界遺産になっている。この島のワインはミネラル感が強烈だ。「アデガ・ド・ヴルカォン ペ・ド・モンテ・リゼルヴァ 2021」(輸入元:ラシーヌ)は樹齢100年のアリント、ヴェルデーリョ、テランテスの白。合わせたのはバカリャウ(塩干ダラ)風に仕立てた毛ガニの料理。カニの旨味とワインのミネラル感にほくほくのじゃがいもが添い、ワインの内面の柔らかさを抽き出す。

「ティトズ・アデガ  ア セルカ ドシュ フラーデシュ テランテシュ ド ピコ 2020」(輸入元:同)はテランテス100%。単体で飲むとオイリーな印象だが、米にパセリと抹茶を加えて炊いたご飯と合わせると、ワインのレモン香やミネラル感が立ち、味が引き締まる。

アレンテージョその1 ターリャ(アンフォラ)ワイン

アレンテージョには、ターリャ(アンフォラ)ワインの歴史が2000年以上ある。「メストレ・ダニエル ターリャ VII キュヴェ ジャパン 2021」(輸入元:ポルトガルトレード)の品種はアンタォン・ヴァース、ペルム、ロウペイロ。繊細な渋味が心地よい。熟したオレンジやレモンピール、オリエンタルスパイスの香り。アルコール度数は11.5%ながら充足感のある味わい。合わせた料理はマデイラ酒に漬け込んだウシエビ。続いてヤギのチーズ、シジミ、カブの一品。アンフォラワインが料理のうま味を爽やかにしてくれる。

舞茸の一皿と楽しむティンタ・カルヴァーリャ

アレンテージョその2 風味たっぷりの料理に合わせる白と赤

「キンタ・ド・パラル ヴィニャス・ヴェリャス 2018」(輸入元:同)はアンタォン・ヴァース主体の白。ローズマリーなどハーブ香が特徴的で、果実味も強く、余韻までみずみずしい。アオリイカとシャインマスカットを添えたパクチーの天ぷらで、清涼感たっぷりのペアリング。あるいはバカリャウのだし巻き卵のうま味とともに、時間をかけてその長い余韻を楽しみたい。

「フィタプレタ ティンタ・カルヴァーリャ 2020」(輸入元:ヴィレッジセラーズ)はティンタ・カルヴァーリャという珍しい品種。軽やかでスムースなアタック。ラズベリー、ダークチェリーの果実味に、終盤でほんのり土の香り。麹と塩で味付けした舞茸、うま味たっぷりの一皿と。

 

2つのドウロを魚と豚で

「クロ・フォンテ・ド・サント・チェリーキャップ」とスズキの南蛮漬け

「キンタ・ド・ジャヴァリ クロ・フォンテ・ド・サント・チェリーキャップ 2020」(輸入元:Recife)はドウロ産のフィールド・ブレンド。ビオディナミ農法で、樹齢90年以上の古木、伝統的なラガーの足踏みでブドウを潰す。赤系ベリー、イチゴ、オレンジなど、ハツラツとして多層的な果実味。透明感があって洗練された印象。合わせた料理は、金木犀のビネガーをかけたスズキの南蛮漬け。カボチャのエキス、大根といくらを添えて。その多彩な味が、ワインの奥行きを深める。

「キンタ・ド・クラスト トゥリガ・ナショナル 2018」(輸入元:Row&Co.)は2003年にドウロ・ボーイズを結成した5社の一社で、高品質なスティルワインをもってドウロに革命をもたらした。トゥリガ・ナショナル100%、果実味が凝縮し、アーモンドやヴァニラも感じる息の長いワイン。合わせた料理は山形の米澤豚のグリルに、アサリとじゃがいもを添えて。ワインのしっかりした果実味とスムースなテクスチャーが、肉質がやわらかく味が凝縮した豚に見事に寄り添う。

 

ガルシア氏イチオシのヴィンテージ・ポート

最後に供された「W & J グラハム ヴィンテージ・ポート 1994」は「ヴィンテージ・ポートの魅力をぜひ知ってほしい」と言うガルシア氏からの特別な贈り物だ。干しブドウの凝縮した味わい、ベルベットのような口当たり、余韻が長く、贅沢なデザートの時間を演出してくれた。クリスピーなエッグタルトと、シナモン入りの梅酒ソースの干し柿のアイスとともに。

 

 

 

 

プレミアムバガの先駆けとなった造り手がルイス・パトの「ヴィーニャ・バロッサ 2017」(輸入元:木下インターナショナル)も供された。口当たりがなめらかで、ダークチェリー、スパイスが香る。エレガントな赤で、オリーブオイルをかけたサンマの炭火焼きと。

 

供された9種。

 

(N. Miyata)

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