類い稀なプロジェクト ”Ao Yun” シャングリ・ラ 2500mの高地で

2013年2月よりモエ ヘネシー エステート&ワインの社長兼CEOを務めるジャン=ギョーム・プラッツが、3月末に急遽来日した。中国でのプロジェクトについて話を聞いた。

 

<中国で見つけた異例な地>

モエ ヘネシーのワイン部門では、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンなどの新世界を中心にいくつものエステートを抱えている。今回の ”Ao Yun” プロジェクトは中国の雲南省で始まったが、3年かけて中国中の土壌と気候を調べ、ようやく決まった場所だという。話を聞きながら、仙人にでも出くわしそうな情景を想像した。

そこは理想郷とも呼ばれるシャングリ・ラだ。メコン川流域でミャンマーに近く、北緯27℃、標高2400〜2500mという低緯度・高高度にある。ヒマラヤ山脈の東端にあり、風光明媚なだけでなくチベット族はじめ多くの民族が住んでいる。

なぜシャングリ・ラでワイン造りを? と疑問に思うが、1850年代にイエズス会の宣教師らがこの地に葡萄を植えていたという。一旦、葡萄畑は消失したが、この事実を知った中国政府が葡萄栽培を推奨した。2002年頃から多くの住民が植樹を始めるまでは、高地でも生息できる牛のヤクやトウモロコシの粉がここの名産だった。ヤクは今でも葡萄畑の耕作に活躍しているようだ。

aoyunmountain

シャングリ・ラ全体で葡萄畑は300haだけだが、それが50の村に散在している。 ”Ao Yun” プロジェクトでは、そのうち特に優れていると判断した4つの村の30haと50年契約を結んだ。しかし驚くことに、その内訳は328区画にも及ぶ。

「悪夢ともいえる。他国と比べても、このプロジェクトのコストが最も高くついている。とはいえ、金額以上に投資した人のエネルギーのほうが遥かに多い」とジャン=ギョーム。

村と村を行き来するのに片道1時間以上かかる。それぞれの村に畑を管理するマネージャーを置かなければならない。190人の村人に対して、27名のマネージメント・チームを組んだ。事務所から畑まで行くにも4時間かかり、途中で4,300mの山を越えなければ到着できない。このチームを形成するのに、大変な苦労をしたようだ。

< ”Ao Yun” の特異性> へ続く

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