シャルル・エドシック Charles Heidsieck/豊かで複雑性のある贅沢なスタイル それが変わらぬシャルルの姿

「シャンパン・チャーリー」の映画でも知られるシャルル=カミーユ・エドシックは、1851年に29歳でメゾンを立ち上げた。地下20mの深さにある地下セラーは9kmほどに及び、昨年世界遺産にも登録された「クレイエール(採石場跡)」が47にも及ぶ。

 

庭の下には地下セラーが広がり、いくつものクレイエールが見られる

庭の下には地下セラーが広がり、いくつものクレイエールが見られる

<新生ブリュット レゼルヴ>

2012年から日本市場に帰還したシャルル・エドシックは、新たな装いで登場した。下部が膨らみネックが細い、印象的なボトルだ。機能的に空気との接点がより狭くなり長期熟成に耐えやすいというだけではなく、美しい9番目のクレイエールの姿を模したものだ。シャルル・エドシックではスタンダードのノン・ヴィンテージ「ブリュット レゼルヴ」で、この地下セラーで5年間の眠りにつきを、更にデゴルジュマン後1年ほど経てから世に出される。贅沢な話だ。

「ダンディーな紳士」のイメージが強いシャルル・エドシックは、そのファンにもこだわりの人が多いようで、裏ラベルにデゴルジュマンの年月など詳細を記すことにした。

もちろん、「新生ブリュット レゼルヴ」というゆえんは、外観だけの話ではない。使用する葡萄の出処をそれまでの120クリュから半分の60クリュに絞った。そのメインとなるのはグラン・クリュだ。

現在のシェフ・ド・カーヴシリル・ブランの前任で、惜しくも2014年に他界したティエリー・ロゼが2012年末に来日した際「ピノ・ノワールはアンボネイなど、洗練され複雑さと力があるものを。シャルドネはオジェを核として、フレッシュでエレガント、そして独特のテクスチャーのもの。ムニエはヴェルヌイユをはじめアロマティックでフレッシュなものを選んだ」と語ったことを思い出す。これにより、望むべきシャルルのスタイルをより正確に表現しやすくなったという。

また、40%にも及ぶリザーヴワインは、以前は平均熟成が8年だったが今では10年となり、最も古いものは20年前に遡る。このリザーヴワインの熟成感と比率の高さが、シャルルの特徴を形作るひとつの鍵となっている。ベースワインはピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエがほぼ均等の割合だが、リザーヴワインはピノ・ノワールとシャルドネのみ、およそ半分ずつ。尚、ここでは醗酵もリザーヴワインの保管にも、すべてステンレスタンクを使用している。

<豊かさとドザージュの関係> <シャルルのポートフォリオ> へ続く

本稿はウォンズ2016年6月号のシャンパーニュ特集「シャンパーニュのドザージュの変化に関する考察」に掲載したひとつの記事です。

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