モエ・ヘネシーとビヨンセのウイスキー、「サーデイヴィス」制作秘話をラムズデン博士語る

人気アーティストのビヨンセ・ノウルズ・カーター(以下ビヨンセ)と、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの子会社モエ・ヘネシーが共同開発したアメリカンウイスキー「SirDavis(サーデイヴィス)」が9月4日より順次販売開始された。日本ではMHD モエ ヘネシー ディアジオが都内のホテル、レストラン、バーや百貨店、およびモエ ヘネシー公式ヤフー店で販売。
9月10日には制作の陣頭指揮に立ったマスターディスティラーのビル・ラムズデン博士を招いて、都内で新ブランド発表会を行った。

■ビヨンセとラムズデン博士の出会い
「サーデイヴィス」は、ジャパニーズウイスキー愛好家でもあるビヨンセが理想とするオンリーワンの味わいを実現するため、モエ・ヘネシーに協力を依頼し3年をかけて完成したもの。一方のモエ・ヘネシーはアメリカのウイスキー市場で存在感を高めるべく模索を続けていて、世界をリードするラグジュアリーグループとビヨンセとのパートナーシップはまさに運命的なタイミングだったという。
ラムズデン博士によると、3年前のとある日曜の昼、当時のマーケティングディレクターから、「明日ロサンゼルスへ一緒に行かないか。特別な人にあってほしい」と電話があったという。はじめは生返事をしていたが、その特別の人がビヨンセだと言うので、迷わず同行を決めたと話す。
「ビヨンセがウイスキー愛好家ということは以前から知っていて、特別なセミナーを行い彼女の好みを探りました。最も好きなのは『山崎12年』だということは聞いていて、それを踏まえてバーボンやテネシーウイスキー、ライウイスキー、そして『グレンモーレンジィ』や『アードベッグ』、さらには他のジャパニーズウイスキーなどたくさんのウイスキーを試飲してもらいました」。

■新たなアメリカンウイスキーの誕生
テイスティングの後、改めてビヨンセから「自分のウイスキーを造りたいので、力を貸してほしい」と依頼された。LVMHとビヨンセはファッションブランドでの広告の仕事もしているほか、夫のジェイ・Zが共同出資するシャンパーニュ「アルマン・ド・ブリニャック」での関係もあり、早速この企画を進めることになった。
「様々なアイディアの中には、ソフトな味わいの好みに合わせてスコッチとジャパニーズのブレンドというものもありましたが、徐々に、彼女の祖国であるアメリカらしいウイスキーを造るという方向性が固まっていきました。アメリカで蒸留所を新設することも考えたが、それでは建設に2年、そこから熟成までさらに時間がかかるため断念し、インディアナ州のMGP社から12種類の原酒を取り寄せた。ほとんどがライウイスキーで、はじめに4~5種、最終的には3種に絞り、昨年にシアトルのウッディビル蒸留所で最終的なテイスティングを行い、1つのスタイルに定まりました」。

ラムズデン博士(左)とMHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェル氏(右)

■曾祖父に敬意を表して
「サーデイヴィス」は、ビヨンセの父方の曾祖父のデイヴィス・ホーグにちなんで命名された。彼は禁酒法時代のアメリカ南部で農業を営みながら密造酒を造っていた、いわゆるムーンシャイナーだった。
「当時のアメリカでは、黒人が自分の土地を所有していたこと自体が珍しく、人々は彼に敬意を表して“サー・デイヴィス”と呼んでいたそうです。それから4世代を経て、そのレガシーが蘇りました」。

■特別な製法、特別な味わい
アメリカらしさがありながら、スコットランドやジャパニーズのスタイルにインスピレーションを得て、特徴的なマッシュビルを造った。MGP社が造るウイスキーは通常の場合、ライ麦使用比率が95%を占めスパイシーな味わいとなる。それも魅力的ではあるとしつつも、もっとスムースなものを求め、最終的には穀物の配合レシピをライ麦51%、大麦麦芽49%に調整した。
「ライ麦を使ったアメリカンウイスキーらしさがありつつ、大麦麦芽の割合を増やすことでスムースな飲み心地を実現しました。このマッシュビルは独占契約により、今後我々だけが使用できます。ベーススピリッツをアメリカンオーク樽で熟成後、テキサス州で半年~9か月間をPX(ペドロヒメネス)シェリー樽で追熟しました。程よいシェリー感が、『山崎12年』や『グレンモーレンジィ ラサンタ12年』のニュアンスを感じさせます。また、ビヨンセの強い希望でノンチルフィルタード、そしてアルコール分は彼女が最も好きな数字という“4”にこだわり44%に調整しました。発売日は9月4日、これは彼女の誕生日でもあります」。

■まろやかでエレガント
香りは新鮮なセビリアオレンジと、トフィー風味のバタークリームがクラシックな樽のスパイスを与え、シナモンやクローブのスパイシーな香りと濃厚な赤い果実、そして甘いビスケットのようなアロマが続く。味わいはフルーティでシルキー、エレガントさがあり、蜂蜜のようなまろやかなニュアンスが感じられる。飲み方はストレートやロック、シグネチャーカクテルは1:3でソーダを加えた「ハイボール」や、ハニーシロップを使った「ハニービー」を推奨。

■ビヨンセの強いこだわり
「サーデイヴィス」の特徴的なボトルデザインも、ビヨンセがアートディレクションを手掛けている。人目を惹く背の高いボトルには意図的なデザインが組み込まれ、ラグジュアリーな世界観を表現。ボトルは印象的で清潔感があり、ストライプ上に溝が刻まれたガラスは光を美しく捉え琥珀色の液体を際立たせる。また強さと敬意の象徴で、ビヨンセの生まれ故郷のテキサスを象徴する、堂々とした青銅の馬が描かれた黒いメダリオンも特徴的。
この商品のローンチにあたり彼女は次のようにコメントしている。
「曽祖父が密造酒製造業者だったと知ったとき、私のウイスキーへの愛は運命的なものと確信しました。『サーデイヴィス』によって私は曾祖父への敬意を新たにし、そのレガシーは私達の絆を強めました。モエ・ヘネシーとのパートナーシップにより、伝統を尊重しながらも、ウイスキー分野にて唯一無二な体験を提供できるおいしいアメリカンウイスキーを造り上げました。言葉ではとても伝えきれないので、是非味わってみてください。『サーデイヴィス』の世界へようこそ」。

 

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