豪州産シラーズのスタイルが変わり始めた! 伝統産地と新興冷涼産地の違いを探る

21世紀に入って、オーストラリアワインが大きく変貌しつつある。アメリカンテイストの影響を強く受けたヘビーでジャミーでオーキーというオーストラリアワインのイメージはすでに過去のものになりつつある。

特に若い世代の造り手達はよりエレガントでバランスのとれたワイン造りに向かっている。もちろん温暖な産地ではいまも15 度近いアルコール度数のワインが造られているが、飲んでみるとかつて感じたような喉の渇きを覚えるような熱さがない。ひきしまったフレッシュ感がある。

近年、より冷涼な産地を求めて畑がどんどん広がっているし、適地適品種の開発やクローンセレクション、キャノピーマネージメントなど、栽培技術が大きく進んでいる。醸造においても、醸しの期間や温度管理、タンニンマネージメント、樽の使い方など、これまで以上に注意深く丁寧で、精緻なワイン造りが行われるようになった。

オーストラリアを代表する品種、シラーズ/シラーにフォーカスしながら、幾つかの新興冷涼ワイン産地と伝統産地を訪ねた。

 

Starange Birdsが集うGranite Belt

クィーンズランド州といえば、大方の日本人がまず思い浮かべるのは陽光まぶしいゴードルコーストだろう。しかし、クィーンズランドは、新しいワイン生産州としても注目を集め始めている。その中心となっているのが、オーストラリアにある65GI のひとつ、Granite Belt だ。州都ブリスベーンから南西へ約200Km、車で3時間ほど内陸部に入ったところにグラニット・ベルトのワイン生産地帯がある。オーストラリア東部の海岸線に沿って南北に延びるニューイングランド山脈の北端に位置し、隣州のニューサウスウェールズと境を接している。緯度は28度40分、オーストラリアのぶどう栽培地としては最も緯度が低く、赤道に近い。しかし、標高700 ~ 1200m の山岳地帯にある。雪に覆われることもあるという冬期の気温はマイナス10℃~15℃。夏は15℃から時に32℃まで上がることもあるが、平均気温は22℃と温暖。ぶどうの成育がゆっくりと進むため、収穫は2月~5 月までとオーストラリアにおける他の栽培地より長い。ぶどうの成育期における雨量はおよそ500mm。この地でぶどう栽培においてリスクがあるといえば、春の遅霜と、年によっては問題となる収穫期の雨だという。

名前のとおり、グラニット・ベルトはおよそ3億年前まで遡る古い花崗岩の風化した土壌が特徴だ。特に、南部のバランディーン一帯では、大きな花崗岩の大岩が地表から突き出している光景を目にする。(M. Yoshino)

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Granite Belt 訪問先:Sirromet Wines, Ballandean Estate Wines, Golden Grove Estate, Symphony Hill Wines

Adelaide Hills 訪問先:Shaw + Smith, Ochota Barrels, Ngeringa Penfolds MagillEstate

McLaren Vale 訪問先:Alpha Box & Dice, Noon Winery, Clarendon Hills, Battle of Bosworth

Barossa 訪問先:Schild Estate, Jacob’s Creek, Elderton, Sons of Eden

画像:Granite Belt Wine Belt の道路標識

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