特集/シェリー シェリーの街ヘレス・デ・ラ・フロンテラとサンルーカル

1月半ばにヘレス・デ・ラ・フロンテラを訪れた。ホテルで荷ほどきを終えると、午後2時に近かった。スペインではそろそろランチタイムが始まる。小腹に何か入れようと街中へ出ると、老舗のバルが賑わっていた。シェリーや生ビールを、小皿料理とともに忙しそうに運んでいた。カウンターで「フィノ」を注文すると「ティオ・ぺぺか? ラ・イーナか?」と聞かれた。その後、中心街を歩いている間中、どちらかのブランドの樽やテントを頻繁に見かけた。まさにシェリー一色の街だった。

 

 

<シェリーの輸出量>

しかし、シェリーの生産量は年々減少傾向にある。その理由は、輸出量の減少が続いているからだという。シェリーの誕生そのもの、あるいはその発展に、イギリスはじめ海外の人々が大きく関わってきた歴史を思い起こさせる。シェリーは輸出ありきで始まった産物だ。

輸出量は減少したとはいえ、昨年の輸出量は国内向けの倍近くあった。とはいえ、2000年の輸出量は2016年の2.6倍強、ピークだったと思われる1980年には5.6倍あったのだから、シェリー産業にとって大きな打撃だ。

その理由を尋ねたところ、ある造り手の広報担当者は「甘口タイプの消費量がイギリスやアメリカなどで大幅に減っているから」だという(2015年の数字は、減ったとはいえ今でも輸出の大半が甘口だが)。世界的な辛口嗜好へのシフトというだけではなく、世代交代もその要因だ。甘口を好む世代が高齢化し、減少しているのだ。

世界的に若い世代はより辛口、より軽やかなタイプを求め、あるいはアルコールをあまり飲まない傾向がある。もちろん、経済的な理由も挙げられる。輸出量減少に歯止めをかけるのは、至難の技だろう。

 

<日本市場への期待>

このような中で、日本市場は期待値が高いのかもしれない。(以下略)(Y. Nagoshi)

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