ナパとソノマのポテンシャルを追究するパルメイヤーとウェイフェアラー

ナパのワイナリー「パルメイヤー」から、昨年来、父ジェイソンの後を継いで社長を務めている長女のクレオ・パルメイヤーさんが来日した。クレオは、ソノマ・コーストにあるパルメイヤーの自社畑に特化した「ウェイフェアラー」ブランドの立ち上げにも深く関わってきた。

パルメイヤーのファーストヴィンテージは1986年。歴代のワインメーカーはランディ・ダン、ボブ・レヴィ、ヘレン・ターリー、エリン・グリーンと錚々たる名前が連なり、現在はサンフランシスコ・クロニクル紙で“2015 ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー”に選ばれたビビアナ・ゴンザレス・レーヴがコンサルタントを務めている。

パルメイヤーはナパ・ヴァレーの中でもマウンテン・ヴィンヤードのブドウを使ったパイオニアの一人として知られる。アトラス・ピークにある自社畑「ウォーター・ランチ」30haではシャルドネの他、ボルドー系黒葡萄を栽培。岩混じりの痩せた火山性土壌で、排水性に勝れる畑の標高は450~650m。日中の豊かな日照量、夜から朝にかけては冷涼な気候に育まれ、色乗りがよく、凝縮感豊かなブドウを育んでいる。

この畑で栽培されているカベルネは、ワイン好きが昂じて法律家からワイン造りに転じたジェイソンがボルドーに渡り、苗木を隠し持ってカリフォルニアに持ち帰ったいわゆる「スーツケース・クローン」だ。ワイナリーでは2~3年前からムートン・ロートシルトと同じ形の木製発酵槽を導入し、トップ・キュヴェに使用している。

一方、ソノマ・コースト北部のFort Ross-Seaview AVA にある自社畑ウェイフェアラー・ヴィンヤードは、元々は果物や野菜の農場だったところ。ヘレン・ターリーが「カリフォルニアにおけるピノ&シャルドネのグランクリュになる」との霊感を得て見つけ出したという。近くにはマーカッサンやフラワーズ、ピーター・マイケルの畑も点在するこの畑の標高は335m。かつて海底だった土地が隆起堆積してできた「ゴールド・リッジ土壌」は化石混じりの砂質で排水性が高い

ディヴィッド・エイブリューの力を借りて2002年から植樹がはじまった畑12haでは、12 の異なるクローンを使ったピノ・ノワールと4 種のクローンによるシャルドネを栽培。ここのぶどうは2005年から、パルメイヤーのソノマ・コーストに少しずつブレンドされてきたが、2012年ヴィンテージからは独立したブランド「ウェイフェアラー」として、シャルドネとピノ・ノワールのエステートワイン各1品目と、畑の区画ごとの個性を反映させた4 つの上級キュヴェ(ゴールデン・ミーン、マザー・ロック、ペイジズ・リッジ、ザ・トラベラー)が少量生産されている。

(中略)

輸入元・中川ワインが主催したセミナー試飲会。当初は昨年10月に行う予定だったがナパを襲った火災で延期を余儀なくされた。パルメイヤーでも自社畑ウォーター・ランチ近くにまで火の手が広がったが、幸いなことに大方のブドウはその前に収穫を終えワイナリーで醸造中。「一部プティ・ヴェルドにスモークテインテッドの懸念があるが、パルメイヤーにおいてはプティ・ヴェルドの比率は高くなく、品質チェックをしっかりと行い、納得できなければ一切使わない」という。

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トップ画像:クレオ・パルメイヤーさん

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