- 2018-6-5
- Beer
サントリーがノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」ブランドのひとつとして、『オールフリー オールタイム』を投入した。無色透明でペットボトル入りという革新的なコンセプトで、飲用機会の倍増と市場での大きなインパクトを狙う。
〈無糖炭酸飲料として市場を捉える〉
ノンアルコールビールテイストの分野は、2010年にビール各社が参入して以来、味の進化もあり、毎年順調に拡大してきた。だが、サントリー独自の調査によると、飲用シーンの殆どは夜。つまりビールの代替品としての需要だ。そこで改めてノンアルビールのユーザーを対象に調査を実施。その結果、59%のユーザーが、無糖炭酸飲料の代用になると回答した。
無糖炭酸飲料市場も、ここ10年で大きく拡大。酒の割り材としてではなく、そのまま飲む割合が近年高まっている。朝から晩まで、仕事中・食
事中などシーンを選ばず飲まれる無糖炭酸飲料。ここに市場を急拡大させる機会があると見た。ビールテイストが引き起こす高揚感や、もうひと頑張りしたい時のリフレッシュ感は、ただの炭酸水では得られない。
〈飲用者意識のハードルを越えて〉
サントリーは、これまで応接室で来客に「オールフリー」を出していた。これは、空気が重くなりがちな商談の場でも、気持ちが打ち解けて会話に活気をもたらす効果があった。一方、缶ビールと変わらぬパッケージで、中身の色もピールと同じでは、「昼から飲む」という戸惑いを引き起こすことにも気づいた。会議でもランチでも、仕事中に周りの目を気にせず飲めるよう、心理的バリアを取り除く課題を克服する必要があった。そこで辿り着いたのが、透明な中身が見える、無糖炭酸飲料では一般的なペットボトルに入った商品だった。
〈ビールらしさを大人に訴求〉
麦芽の量を抑えることで透明色を実現したが、味わいはあくまでもビールらしさを追求した。2つこだわりのうち、1つはホップの苦味、もう1つは刺激と飲みごたえだ。無糖炭酸飲料は炭酸の刺激による爽快感はあるものの無味に近いため余韻がなく物足りなさを感じる。一方、有糖炭酸飲料は味の余韻はあるものの、甘さのベタ付きが残る。『オールフリー オールタイム』は、無糖炭酸飲料にはない味の厚みを出し、瞬間的な刺激の後はスッと抜けていく後キレの良さを呈している。ガス圧を缶より50%高め、ライムのフレーバーを付与することで爽快感を打ち出した。
サントリーのノンアルは全て二十歳以上を想定している。だから、オールタイムも清涼飲料水ではなく、あくまでも酒類メーカーが出す商品として位置付けられている。酒類の棚に収まるよう、ボトルは500ml缶に合わせたサイズにした。“かっこよく働く人”のイメージを表現するため、シンプルな白いシャツに見立てたラベルを剥がすと、ボトル表面に施たれたエンボスに気づく、という遊び心も加味した。チャネルをコンビニにしたのは、メインターゲットであるオフィスワーカーがアクセスしやすい場所だから。ストレスを抱えながら忙しく働く現代人に、瞬間的なリフレッシュを提供する、新感覚の商品だ。(Soari Kondo)
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