ワイン&スピリッツ・フェア/香港国際美酒展

香港と日本の貿易の橋渡しをする香港貿易発展局(HKTDC)は11月5~7の3日間、第8回「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア/香港国際美酒展」を香港コンベンショナル&エキシビションセンターで開催する。同フェアは、アジア最大級の酒類見本市で総出展者数1000企業(38カ国)、このうち日本からは9月時点で52企業。現在募集中のため、さらに増える見通しだ。

世界75カ国の国と地域から約2万人のバイヤーが集結する。その7割がアジアからだが、さらにヨーロッパが2割超を占めるなど、よりグローバルなイベントへと成長している。

また、出展38カ国のうち、30カ国がそれぞれ独自のパビリオンをつくり、各国のプレゼンスを拡大する場となっている。日本はジェトロがジャパンパビリオンを出展して4回目となる。今年の出展企業数は日本酒15社、焼酎4社、ワイン5社(うち山梨4社)、リキュール4社、ウイスキー1社の29社・団体。ジェトロ香港の食品コーディネーターが現地の有望バイヤーをアテンドし、出展企業の新規開拓をサポートする。ジェトロによれば、「現在、海外で注目されている国産ウイスキーをはじめ、日本酒、ワインなど日本産酒類の輸出は追い風」という。中でも香港は金額ベースで米国に次ぐ輸出仕向地で、単価の高いハイエンドな酒類マーケットとして、大きなポテンシャルがあると見ている。

一方、HKTDCは意欲のある酒造メーカーなどの単独出展を呼びかけている。昨年は北海道ワインが出展し、香港の大手小売りチェーン「759阿信屋」とワイン1万4000本を輸出する契約を締結するなど、これまでのジェトロや組合単位など団体での出展から新たなステージに入ったと見ている。それだけ日本食や日本のカルチャーが、一時のブームから定着へと向かい、ジャパンブランドのプレゼンス拡大が、実際の商売にもプラスに作用していることの表れだろう。まさに“商機アリ”の状況に大きく変化している。

HKTDC日本首席代表古田茂美氏は「新たな貿易財である日本産酒類を、香港を経由する再輸出の増大によって、地方創生につなげたい。香港の強みは2008年に関税が撤廃され、ワインには関税がないこと。ボルドーワインの組合と香港が調印して一挙にワインの大消費地となった。さらに中国と香港の経済連携協定(CEPA)によって、税関当局間でワインの輸出入に関する手続きの簡素化を図る協定が結ばれた。これによって通常は日本から中国本土へ直輸出すると通関手続きには1カ月以上かかるが、(香港を経由すれば)数日で済むように簡素化される」

「中国経済が風邪を引くと香港は肺炎になる、といわれるほど両者の関係は親密で相互依存度が高い。習近平国家主席は“シルクロード経済圏”という新しいユーラシア・アジアマーケット構築の具体化に今年から動き出した。この経済圏には65カ国が参加している。香港も大きく舵を切りはじめた。香港へ日本の貿易財を輸出していくことは、中国マーケット、アセアンマーケット、さらにヨーロッパへと市場がさらに大きく広がる可能性がある。世界の貿易センター、金融センター、物流センターとしての香港の役割がさらに高まるはずだ」と、語っている。(A. Horiguchi)

画像:今年から動き出した中国の“シルクロード経済圏”構想

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