D.O. ルエダ 日本食材との相性を探るプロモーション

ルエダワイン原産地呼称統制委員会は、今年首都圏を中心にレストランプロモーションを行った。主旨は、ルエダの白ワインのバリエーションを伝え、日本の食材との相性を探ることだった。その皮切りとして、レストラン サン パウにて、ルエダについて、5種類のルエダワインと料理とのペアリングについて、シェフソムリエ兼マネージャーの菊池貴行氏が解説を行った。そのポイントを記す。

菊池貴行氏

D.O. ルエダの特徴

ルエダは、カスティーリャ・イ・レオン州初のD.O.で1980年に認定された。ベルデホを主体にすることが多く、スペインで最も多く飲まれている白ワインである。2008年より赤とロゼも生産しているが、赤はやはり隣接するリベラ・デル・ドゥエロとトロの方がずっと有名で、ロゼについては酸が柔らかくベリー系果実が香り仔羊と合わせるのが人気だ。フィロキセラ以前はルエダでも赤の生産が盛んであったが、2大赤ワイン産地の狭間にあったこと、16〜17世紀にスパイン宮廷での流行から酒精強化ワインへの需要が高まったことなど、複数の理由によりフィロキセラ後は白ブドウが広く植樹された。

ベルデホという品種は、寒くて長い冬と暑くて乾燥した夏、日較差も大変大きく、年間降水量300〜500mmといったこの地域の過酷な気候にも耐えられ、果皮が厚くアロマティックなのが特徴だ。夏の日中は40℃以上にもなり人は外出が困難な状態にあっても、ベルデホは糖と酸のバランスが取れる。小石が多い土壌で大陸性気候のルエダの地で10世紀以上にも亘り育てられてきた、まさに土地柄に適した品種だといえる。香味の特徴としては、ハーブ、柑橘類、バナナなどが香り、オリーブオイルととてもよく合う。ベルデホはサンパウに欠かせない品種で、通常はグラスを変えて表情に変化を持たせてサ―ヴィスしているという。

 

<組み合わせ例>

1-タパス/タコのブロチェッタ、バカラオのクロケッタ、ハモンイベリコベジョータのボカディージョ × Marques de Riscal Blanco Sauvignon 2017

ルエダはタパスが有名で、バルで最初に飲む一杯は爽やかなこの白ワインを。横に広がるような果実味豊かな酸があり、幅広い料理と楽しめる。ソーヴィニヨン・ブランはベルデホと似た特徴があり、このソーヴィニヨンの成功によってルエダが国際的に知られるきっかけとなった。6℃で提供/ソーヴィニヨン・ブラン100%/輸入元:サッポロビール

 

2-本鮪のタルタル 山葵、空豆、鮪のカルム × José Pariente Verdejo 2016

スペインは日本に次ぐ鮪の漁獲量を誇る国で、内陸でもロゼと合わせて楽しまれている。この一皿は野菜が加わっており、ベルデホにもよく合う。アニスのフレッシュな香りやビターな後味が特徴のベルデホはほろ苦い食材と合わせやすい。料理のカルムとはスペインの魚醤のことで、これは鮪の出汁と昆布も使用して日本的に。8℃で提供/ベルデホ100%/ 輸入元:グルメミートワールド

3-バカラオの低温調理 地中海スープ、浅利、根三ツ葉 × Hermanos Lurton “Cuesta de Oro” 2015

スペインを代表する魚料理のひとつがバカラオを、55℃で低温調理し、ルエダの白ワインをトマトや浅利や香味野菜とともに使用した、地中海スープとともに。過酷な土地で育ったベルデホは熟成とともに複雑性が増す。これはフレンチオークの新樽で低温発酵した後、フレンチオークで12か月熟成(1/3新樽)。ドライフルーツ、カモミール、干し草などの香りに、少し爽やかだがコクのある味わいで、バカラオの滋味深い味わいに負けないボディがある。10℃で提供/2015年はサンパウ在庫より/ベルデホ100%/ 輸入元:白井松新薬
4-仔羊のアサド ホワイトアスパラガス、卵、ハモンイベリコベジョータ、パルメザン × Belondrade y Lurton 2014

乳飲み仔羊を窯で焼いたルエダの伝統料理のイメージで。卵白のマヨネーズ、卵黄をドライにして削ったもの、やはり削ったハモン、泡状のパルメザンなど、様々な技法が使われた一品。ベルデホの樽熟成を確立した生産者で、豊かで複雑性がある。完熟させたベルデホとオーク、シュールリーの組み合わせは、白ワインを豊かにし、きめ細かい仔羊の肉質と好相性。洋梨やパイナップルなど南国の果実やアーモンドも香り、とてもふくよか。10℃で提供/2014年はサンパウ在庫より/ベルデホ100%/ 輸入元:ミリオン商事
5-山羊乳チーズ 蜂蜜、デーツ、鬼胡桃 ×De Alberto Dorado N.V.

伝統的な「ドラド」と山羊のチーズは、伝統的なマリアージュで、個性の強い2つがまとまり余韻が長く残る。12℃で提供/ベルデホ100%、酒精強化ワインを16ℓのガラス瓶に12ℓ入れて、春から夏の半年間陽に当てて酸化熟成し、その後ソレラシステムを経て瓶詰め/ 輸入元:いろはわいん

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