最も印象に残った出来事 by A. Horiguchi
国産ウイスキーの黎明期にスポットを当てた“マッサン”のテレビ放映から、もう朝ドラも3作目なので、時間が流れるはとても早く感じる。その後も国産ウイスキーの売れ行きは好調で、メーカー値上げや出荷調整が続いている。当分は国産ウイスキーの品薄感と割高感は増しそうなので、その分、ウイスキーの魅力に浸る時間を大切にしたいものだ。
サントリー名誉チーフブレンダー輿水精一氏と山崎、白州両蒸溜所両工場長を経験した嶋谷幸雄氏の著書「日本ウイスキー世界一への道」を読んで、ジャパニーズウイスキーが世界で評価される理由が分かったような気がした。そして、こんな一節がある。「長い論争の末に、(スコットランドで)ブレンデッドウイスキーが正式にウイスキーとして認められたのは1909年のことであり、3年以上の貯蔵が義務づけられたのは1916年になってからであった。その意味では、本格的ブレンデッドウイスキーの登場はほんの100年前といってもよいのかもしれない」(188頁)。歴史は変えられないが新しい歴史をつくることはできる。年末に輿水氏とニッカウヰスキーのチーフブレンダー佐久間正氏が対談するというまたとない機会があった。輿水氏が「これからの50年、100年とこのブームが続けばウイスキーが日本の地酒になるのではないか」と締めくくった言葉がとても印象的だった。
最も印象に残った銘柄 by Y. Nagoshi
ブリュット・ド・ブリュット ブリュット・ナチュレ グラン・レセルバ2006/レカレド/スペイン
年間で何種類のワインを試飲したのか、数えたことはない。一日100種類が限界だと思っているが、そういう日が何日か続くこともある。それはさておき、数は少ないながら毎年必ず、涙が出そうなほど感動するワインに出会う。
今年の感激ワインのひとつは、カバだった。
「レカレド」という小さな造り手の「ブリュット・ド・ブリュット ブリュット・ナチュレ グラン・レセルバ2006」。ブリュットという文字があるけれど、ノン・ドザージュのブリュット・ナチュレで、コルク栓で長期瓶内熟成しているプレミアム級のカバなのだ。
思い返すと、実は10年前にこの藏を訪れた時にも、同じこの銘柄に心振るわせた記憶が蘇ってきた。またもや! と、スペインからの帰途にその味わいを反芻していた。
今、日本では同じ造り手の白ワインしか輸入されていないが、来年にはカバも日本市場に戻ってくるようだ。そして、このカバの産地訪問レポートは、レカレドにとっても重要品種となるチャレロに焦点をあてて取材したもので、2016年2月号掲載を予定している。お目通しいただければ幸いです。
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