Piwi品種を含む多彩なオーストリアワイン(2023年フーデックスセミナー)

写真/Piwi品種「ドナウ・ヴェルトリーナー 2019」(左)

今年のフーデックスは2023年3月7日から9日まで東京ビッグサイトで開催され、世界の約60か国から2,562社が出展した。9日にAdvantage Austria Japan(オーストリア大使館商務部)が主催したセミナーで、来日した生産者や輸入元がオーストリア北部のウィーン、カンプタール、トライゼンタール、南部のベルクラントはケルンテンのワインを紹介した。以下に書くのはいずれも日本未輸入。

来日したシュテルンベルク ヴァイングート エッガーの生産者。オーストリアを代表する白品種グリューナー・ヴェルトリーナーは生産していない。

国の最南端ケルンテンは、イタリアとスロベニアと国境を接し、123haの畑が広がる。気候はアルプス山系で寒暖差が激しく、地形は盆地。気温は冬は-20℃、夏は40℃にまで至るという。おもな栽培品種はピノ・グリやピノ・ブラン、ソーヴィニヨン・ブランなどである。出展したシュテルンベルク ヴァイングート エッガーはビオディナミの生産者。大樽熟成の「ソーヴィニヨン・ブラン グロベス ホルツ 2019」はフルーティーでみずみずしい。

Piwi品種(カビ耐性品種)のワインも紹介された。気候変動を背景に、より病害等に耐性を持つと期待される交配品種で、ドイツを中心にヨーロッパで研究が進んでいる。ドナウ・ヴェルトリーナーは、グリューナー・ヴェルトリーナーとセイヴァル・ブランの交配品種で、2018年から栽培が認可された。カンプタールに拠点を置く1936年創業の家族経営ワイナリー、フィヒテンバウアー・モールドがその「ドナウ・ヴェルトリーナー 2019」を披露。豊かな酸が印象だ。「この品種の長期熟成ポテンシャルについてはこれから見定めていく」とオーナー兼醸造責任者のモールド氏。ワイナリーはサステナブル・オーストリア認証を取得済、来年オーガニック認証も取得予定。

ほかオーストリアパビリオン内で各産地のワインが出品された。その中でニーダーエステライヒ州のトライゼンタールDACからは2社が紹介された。ヴィーガン認証を取得しているトム・ドックナーと、20代の女性醸造家が5年前に立ち上げた新鋭ワイナリー、ヴァイングート・ブラッハマンだ。トライゼンタールはウィーンの西隣の産地で、おもに石灰岩質土壌、848haの畑が丘に広がる。日本で流通するワインはまだほんの一握りである。

(N. Miyata)

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