- 2026-5-11
- NEWS, Wines, スペイン Spain
- モナストレル

「モナストレル=濃厚で高アルコール」。そのイメージは、次第に過去のものになりつつある。今年3月、FOODEX JAPAN 2026のスペインパビリオンでDOPフミーリャのセミナーが開かれ、菊池貴行氏(東京・市ヶ谷の「ティンガナ」シェフソムリエ)が登壇した。長年モナストレルを扱ってきた菊池氏が、現場感覚から品種の発展を解説した。
スペイン南東部に位置するフミーリャは、夏40℃超・冬は氷点下まで下がる地中海性気候。痩せた石灰岩土壌に、株間を広く取ったブッシュヴァイン仕立てが並ぶ。水分の奪い合いを避けるための栽培様式が、結果としてモナストレルに骨格と凝縮感を与える。
菊池氏は言う。「20年前は多くの銘柄を扱っていたが、徐々に使いにくくなった時期があった。市場がエレガント志向に振れるなか、当時のスタイルでは出しにくかった」。転機は近年で、繊細さと果実味を両立させる造り手の登場とともに、再び注力し始めたという。
以下はセミナーで紹介されたワインのうち、抜粋5本。
「Bodegas San Dionisio Coop. SF Rosado Eco 2024」
モナストレル100%、アルコール度数12%のロゼ。骨格がしっかりし、骨太のストラクチャー。チェリーなどの赤い果実とともにスパイス感も。「タンニンの収斂性が残り、ガストロノミックに活躍しやすいロゼ。イカのフリットなどに」と菊池氏。
「Bodegas Viña Elena Paraje Marín 2024」
モナストレル100%。7か月のコンクリートタンク熟成。標高360m、石灰岩土壌の畑。「南スペインの繊細なモナストレルは個人的に体験が少なかった。滑らかな口当たりと石やチョークを思わせるニュアンスがある」と菊池氏。アルコール度数14.5%を感じさせない造りが特徴。モダンで、ローズなどの花や白コショウが香る。
「Casa de la Ermita Crianza 2022」
モナストレル42%、シラー35%、カベルネ・ソーヴィニヨン23%。標高550〜700m。シラーとカベルネがメントールなどの清涼感を加え、モナストレル特有の凝縮した黒い果実と共存する。後味はミントチョコ。「スペインワインの黒果実主体の構成が苦手な若年層にも提案しやすい」と菊池氏。
「Alceño 12 Old Vines 2022」
モナストレル100%。標高620mの古木。アメリカンオークとフレンチオークでの12か月熟成。クラシックな濃密さを残すスタイルで、菊池氏は「しっかりした赤を求める層に響く。ジビエや煮込み、赤身肉と」と提案。ややざらみのあるタンニン。重心が低く、ゆったりと楽しめる。
「Alceño Dulce 2021」
モナストレル100%、アルコール度数16%、天然の遅摘みによる甘口。残糖140g/ℓ、24か月樽熟成。レーズンやドライイチジク、砂糖漬け果実の香り。「ゼリーにしてチーズに添えるなど食事との接続もできる。スペインでもデザート的でない使い方をする」。生産者はフォアグラやチョコレートとの組み合わせも推奨する。
「同じモナストレルでも、それぞれに刺さる層が違う。輸入元やソムリエが棚やリストに置く時、この振れ幅を意識できるかが鍵になる」と菊池氏は総括した。
(N. Miyata)















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