「ジョエア」エノテカがドメーヌ・ピエール・シャヴァン社と開発したワインテイスト飲料

エノテカは、フランスのドメーヌ・ピエール・シャヴァン社とともに、ワインテイスト飲料「ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ」を、日本のためにゼロから共同開発した。なるほど、飲んで納得。言われなければノンアルコールとしばらく気がつかないかもしれない味わいだ。

 

「ジョエア」開発の経緯と味わい

世界的にノンアルコール・ローアルコール飲料市場が伸びている中、エノテカでは2018年からリサーチをスタートしたようだ。世界のトレンドを知るためにプロヴァインなど展示会での情報取集開始。それとともに、低・ノーアルコール飲料、とくにワインの場合には香りや味わいを保ちつつアルコールを低く、あるいはゼロにすることの難しさもわかり始めたという。

しかし、フランスのドメーヌ・ピエール・シャヴァン社と出会い、何度も試作品を造り意見交換をするという過程を経て、ようやく納得する素晴らしい商品を開発することができた。

「車を運転するから」「授乳中なので」などの消極的な選択ではなく、「健康や環境を考えて」といった積極的に選択してもらえる商品の開発を目指したのがポイントで、「オーガニック」を商品コンセプトに「ワインラバー」へ向けた、「シャンパーニュ」スタイルを目標にした。

完成し、早速ホテルやレストランのソムリエなどに感想を求めると、「とくに余韻のフレッシュさが好印象」、「価格とのバランスがよい」、「食事との親和性が高い」といった前向きな感想が多かった。

実際に試飲してみると、ピーチやハーブが香り、フレッシュな酸とほどよい果実の甘み、そして柑橘系の余韻。ちょっとしたおつまみと楽しんだり、もちろん日常の食卓でも活躍しそうだ。

 

ソバーキュリアスの台頭

ミレニアム世代を中心に「ソバーキュリアス」が増えている。Sober(しらふ)+Curious(したがる)の造語で、「飲めるけれどあえて飲まない」ことを選ぶ層をこう呼んでいる。このソバーキュリアスが増えている要因を、フランスのワインテイスト飲料生産者として注目を浴びているピエール・シャヴァン社のCEO兼オーナーのマティルド・ブラシャン氏が説明した。ちなみにマティルドさんはシャンパーニュ地方出身で、大手メゾンにて働いた経験もある人物。同社は南フランスのベジエ近郊で2010年創業と若いが、すでに40か国以上に輸出している。

より高品質で健康的な飲料の選択肢を求める消費者が増えている。健康的なライフスタイルへの注目度が上がり、様々なダイエット方法が広がり、ジムに通う人口やランニング人口も増加している。自然で、低糖質、低カロリー飲料の需要が高まり、飲酒に対する懸念やアルコール飲料の代替え品の需要も増加。ここに、新型コロナウイルスの影響が拍車をかけた。このような状況で、2018年から2023年の世界全体の消費動向に関して、ワインテイスト飲料は13.5%増加すると予測されているようだ(低アルコールワインは5.6%増加、ワインは1.17%増加、ビールテイスト飲料は8.8%増加、ビールは0,7%増加の予測)。

 

ワインテイスト飲料の造り方

どのようにして仕上げたのかについては、ワインメーカー兼オーナーのファビアン・グロス氏が解説した。

ワインテイスト飲料の造り方には大きく分けて2種類ある。ひとつは「脱アルコール」、もうひとつは「非発酵」。前者の方が主流で、いくつかの方法がある。「減圧蒸留」は、ブランデーなどでも使われている手法でアルコールを取り除く際、香りも除去されてしまうのがデメリット。「逆浸透膜法」は、二重濾過でアルコール分と水分を除去してから水分だけを戻す方法で、アルコールゼロにするのが不可能で、アルコールを除去するために大量の水を必要とするのも難点。「スピニングコーンカラム」は、より香りを保つことが可能だ。気圧を下げることで40℃前後の気温でアルコールを除去できるからだ。しかし、生産量の30%が失われてしまう(同社で使っている脱アルコール法はスピニングコーンカラムのみ)。

しかし、「ジョエア」には、2017年に同社が世界で初めて導入した方法「非発酵」を採用した。そして、シャンパーニュのスタイルを目標に試行錯誤を繰り返した。ブドウはシャルドネを使用。ブドウを味見してアロマを想像し、収穫日を決定する。4℃の低温で8時間のスキンコンタクト、マセレーション、フレンチオーク樽熟成など、様々な手法を用い、ブレンドした。ブドウの果汁、果皮、種(マセラシオン・ア・ショーにより抽出)、酵母(シャルドネ酵母を使用)などブドウの全てを用いるというアップサイクリングの原則に従っている。また、非発酵のメリットのひとつが亜硫酸塩を添加しないで造れること。人為的な介入も少なくて済む。濾過の後に、低温の3℃で4気圧まで炭酸ガスを注入している。ドザージュは34g/l。

また、100㎖あたりのカロリーは13kclで、通常のワインの70kclの5分の1、シャンパーニュの27kclより低く、糖分は3gとのこと。亜硫酸塩を始め酸化防止剤や保存料も使用していないが、自然低温殺菌*を行なっているため5年間の賞味期限を保証している。

ソフトドリンクで1.0%以上の飲料も存在するなか(日本の規則では0.005%未満が清涼飲料水)で、「ジョエア」はワインテイスト飲料としてアルコール度数0.09%未満を実現した。日本のノンアルコールビールの手法も参考にしたそうだ。ちなみに、ECOCERT認証を取得しいている。

「白い花、マンゴー、メロン、アーモンド、トースト。エレガントでフレッシュなアタックで、フルーティーさと酵母によるナッツやトーストの香りと融合している。マセレーションなどによりシャンパーニュのような複雑性を得ていることで、他の甘いジュースのようなタイプとは一線を画す」と、ファビアン・グロス氏はコメントした。(Y. Nagoshi)

*自然低温殺菌:日本の法律で「pH4.0未満の清涼飲料水の中心部の温度を65℃で10分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法で加熱殺菌を行うこと」が定められている。そのため、ジョエアもこれに準じて低温殺菌が行われている。加熱する際に熱湯を使用しており「自然低温殺菌(natural pasteurization)」と表現しているとのこと。

ジョエア

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