[長期熟成型のキュヴェ発売開始]ビルカール・サルモン ミレジム2006&2008

写真/わずか1haの「クロ・サンティレールの畑は、マレイユ・シュル・アイにあるメゾンのすぐそばにある。古木のピノ・ノワールだけの畑から1995年に初めて「クロ・サンティレール」が造られた。

妥協なき品質の追求で知られるビルカール・サルモンが、満を持してブラン・ド・ブランの「ルイ・サルモン 2008」、稀少な「クロ・サンティレール 2006」をローンチした。 6世代目のアントワーヌ・ローラン・ビルカール氏が、それぞれについて語った。

取材・文 名越康子

 

「2008年は、ルイ・サルモン、ニコラ・フランソワ、エリザベス・サルモンをすべて造った素晴らしいヴィンテージでした」。アントワーヌ・ローラン・ビルカール氏は、冒頭にこう語った。2008年は、温かったここ10~15年の中で珍しく涼しく、とくにシャルドネに好条件だった。ブラン・ド・ブランには、複雑さやストラクチャーよりも、エレガンス、テンション、精密さを求めているからだ。ちなみに、ビルカール氏は、1988年と1998年のルイ・サルモンも大変気に入っている。

醸造においても、ビルカールらしさをさらに高める工夫を行う。例えば、13~14°Cの低温でゆっくりと発酵を行うことで酸にハイライトを当て、とてもデリケートなブドウの特性を表現する。その一方で、ノン・ヴィンテージとは異なる側面を与えるため、およそ3分の1は樽発酵して6か月ほど置き、複雑性をプラスする。また、ルイ・サルモンには主に樹齢40年以上の古木を使用。これにより、いくぶんかの複雑性や深みが加わる。しかし、妥協なき一族は厳しい判断を下すと言う。

「キュヴェ・ルイ・サルモンブラン・ド・ブラン 2008」(左)、「クロ・サンティレール 2006」。

 

「10年間瓶熟成させた後、望んでいたスタイルに仕上がってなければ、ルイ・サルモンとして出さないこともあります」。複雑さやストラクチャーが「過度」になってはならないと繰り返し口にした。何より、ビルカールらしいブラン・ド・ブランのスタイルを守り続けることがとても重要なのだ。コメンテイターとして登壇したソムリエ井黒卓氏の「塩っぽさがダイメンションを与え、長い余韻を形成する」との表現通りの姿だった。 さて、クロ・サンティレールはシャンパーニュの中でも指折りの区画である。1964年植樹の古木のピノ・ノワール1ha から、良年のみ3,500~6,000本のみ造られる。10年前から有機栽培を行い、バイオダイナミックの手法も取り入れていると言う。また、収穫量は30~35 hl/ha と大変少ない。

2006年は、2008年と異なり暑く乾燥したヴィンテージだった。ただ、7月は暑かったが8月は涼しかったため、収穫は例年通りの9月20日頃からとなった。クロ・サンティレールの場合は、アロマと複雑性を得るためできる限り待って収穫し、100%樽発酵で抽出を最大限に行う。

「クロ・サンティレールは、以前はロゼ用の赤ワインを造っていましたが、1995年から単独キュヴェに仕立て始めました。マレイユ・シュール・アイのピノ・ノワールらしさ、ストラクチャーと複雑さを全面に出すスタイルです。ただ、この2006年にはやはりエレガントでフレッシュな要素が感じられ、クロ・サンティレールとは何かを再確認できたヴィンテージです。典型的な姿を表現できたと言って良いと思います」。

まだ抑制されながらも、豊かで厚みがあり複雑な香り、そして口中でもリッチでストラクチャーがありながら余韻はフレッシュで、ワインを味わっているかのような印象だ。井黒氏も「大変貴重な知る人ぞ知る存在です。そして素晴らしいポテンシャルがあり、まだこれから」とコメントした。どちらも、試飲が始まる10分前にデキャンタして供された。それでも大変若々しく息が長いと感じられる。
「つい最近ルイ・サルモン 1988を開けましたが、フレッシュで生き生きしていて素晴らしかった」とビルカール氏。この2本もまた、20年、30年してさらに華やぐに違いない。

6 代目オーナーののアントワーヌ・ローラン・ビルカール氏。日本再訪を心待ちにしていると言う。

 

問い合わせ JALUX
☎ 03-6367-8756
https://www.jalux.com

 

続きは、WANDS 7-8月号
【特集】カリフォルニア ローダイ/新トレンド 多様な世界のスピリッツ/アルゼンチンワインの”今”を探る
をご覧ください。
ウォンズのご購読・ご購入はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください。

関連記事

ページ上部へ戻る