今年は10月末の週末に、3年ぶりのリアルイベント「フレッシュホップフェスト2022」がスプリングバレーブルワリー東京(SVB東京)で開催された。今年は50社が参加! 8月半ばから9月にかけて収穫された新鮮なホップを使ったクラフトビールが仕上がった。この季節だけのワクワクするビールが大集結。クラフトビールファンにはたまらない収穫祭だ。
ちょうど日本産ホップを使った「Japan Pale Ale」、そして「フレッシュホップフェスト2022」で披露された「フレッシュホップ 〜最優秀圃場IBUKI〜」が、SVB東京で数量限定販売されている。日本産ホップの魅力を、ヘッドブリュワーの古川淳一さんに聞いた。
「Japan Pale Ale」は、まさに「日本産ホップだからこそ実現できる味わい」を追求した賜物。これまで日本産ホップを使う場合はその代表的な2品種、「IBUKI」と「MURAKAMI SEVEN」のどちらかを単体で使うことが多かったけれど、今回は両方を使っている。
「IBUKI」は、フローラルでピュアなのが特徴で、「一番搾りプレミアム」や「一番搾り とれたてホップ生ビール」にも使われている。今年から「SPRING VALLEY 豊潤<496>」にも使われるようになった。
「MURAKAMI SEVEN」は、みかんやイチジクを思わせる爽やかな香りが特徴で、まだそれほど生産量が多くないが今後さらに期待されている。
「IBUKIは1970年代からあるホップです。当時はまだビールにそれほど香りを求められていませんでした。ここ20年ほどで香りの強いホップが海外でも盛んに開発されるようになっていて、MURAKAMI SEVENはその影響を受けた品種です」と、古川さん。
ホップの開発は、香味の特性だけでなく栽培の適正などさまざまな要素を検証しなければならないため、とても時間がかかる。そのため他国では国単位で行なっている事業だと言う。
「Japan Pale Ale」の味見をすると、香り高くシルキーな口当たり。クリーミーで穏やかなのでスイスイ飲める。そして、和柑橘の香りとフレッシュ感、ほのかな心地よい苦味の余韻が、もう一口飲みたくさせる。なんというか、見返り美人のような「日本」を思わせる奥ゆかしさ、そして後をひく味わいだった。
11月1日に発売開始される「一番搾り とれたてホップ生ビール」は、通常は乾燥させたペレット状のホップを使っているのに対し、こちらは瞬間冷凍したホップを使っている。とれたてのホップを使用すると「ミントや沈丁花、あるいはグリーンを思わせる、鼻を抜けるようなスーッとした香り」が感じられると言う。
そしてSVB東京だけで飲める「フレッシュホップ 〜最優秀圃場IBUKI〜」は、国産ホップの中でも、昨年の「ホップ優秀栽培者選定会」で最優秀栽培者となった1生産者のホップを収穫後すぐに凍結保管し、使ったもの。昨年は遠野ホップ農協に所属する宮澤利光さんの圃場で収穫した「IBUKI」が選ばれた。さて、どんな香りがするのか。
この季節しか楽しめない、日本産のホップの旬の味わいをぜひ体感してはいかがだろうか。
(Y. Nagoshi)
最近のコメント