チリの最南端オソルノ・ヴァレー、ビーニャ・トラピの「トラピ・デル・ブエノ・シャルドネ・ハンドメイド 2020」
7月7日、チリワイン協会は輸入業社向けの試飲会を都内で開催した。題して「ビノス・デ・ニチョス(ニッチなワイン)」。ワインの生産本数が年間10万本以下の、小規模な12生産者のワインが集まった。ブースに立ち、産地や品種の特色を解説したのは、今年の第1回「チリワイン・エキスパート検定試験」の合格者たちだ。
チリといえば、2022年、日本へのワイン輸出量トップに位置付けた。スーパーマーケットの店頭でもすっかり馴染みとなり、大手ワイナリーの商品は日本でも広く流通している。一方、この試飲会で紹介されたような小規模なワイナリーの商品といえば、まだその多くが日本に入っていない現状である。チリから日本への海上輸送が、コンテナ単位での大口貨物がもっぱらであったのも理由のひとつで、たとえば年間生産本数3,000本程度の生産量の少ないワインは、輸入元にとっても買いにくい状況が続いていた(※)
※そうした輸入元にとって、このたび、郵船ロジスティクスが小口貨物の海上輸送サービスを開始するのは朗報だ。船はチリ発、横浜行のリーファーコンテナで、9月から販売開始予定。注文は1パレット単位で可能。詳しくは郵船ロジスティクス(https://www.yusen-logistics.com/jp_ja/)まで問い合わせのこと。
今回の試飲会は、セントラル・ヴァレーのマイポやコルチャグアを中心にワインが集まった。シャルドネ、ピノ・ノワールをはじめ国際品種の逸品も多かった。
●ビーニャ・カサリブレは、カタルーニャ人の醸造家が営み、コルチャグア、イタラ、クリコなど、チリのあちこちの小さな農家からブドウを購入してワインを生産する。コルチャグア・ヴァレー、アンデス山脈の麓ロス・リンゲス村の「ミニモ 2018」は、名の通りの少量生産で、良年にしか造らない。畑は合成化合物を使わない自然栽培。マルベックとシラーをフレンチオークで熟成。2018年のタンニンはまだかたく、冷涼さを感じる味わい。
●ビーニャ・ビジャロボスはコルチャグア・ヴァレーでユニークなワインを造る。「シルベストレ・カリニャン 2020」は、一部、放置されて野生化していたカリニャンをブレンド。野イチゴなどの赤い果実の香りが魅力で、今向けのモダンでフレッシュな味。マウレ・ヴァレーのパイス主体の「ナティーバ 2020」は火を入れた赤い果実や軽いロースト香。果実味が豊かでタンニンの熟度も飲み頃。
●ビーニャ・トラピはチリの最南端、DOアウストラルのオソルノ・ヴァレーで国際品種のワインを造る。冷涼産地らしさをたっぷりと感じる出来で、ピノ・ノワールの上級キュヴェ「トラピ・デル・ブエノ ハンド・メイド 2018」は、ストラクチャーと酸をしっかり保ち、ラズベリーやワイルドベリーなどの果実味。14か月の仏オーク熟成。またここのシャルドネは、青リンゴやミネラル感があってまとまっている。
(N. Miyata)
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