ジュヴェ・カンプス。カバのグラン・レセルバ、なお高く聳える金字塔

1921年にペネデスで創業したカバの老舗メーカー、ジュヴェカンプス。
10月24日、ブランドアンバサダーのイアン・フォード氏が来日し、
明治屋ホールでプレスカンファレンスが開かれた。

 

■グラン・レセルバの金字塔

DOカバの4つの等級のうち、同社が誇るのがグラン・レセルバで、生産しているカバの53%を占める。統計では、世界に流通するグラン・レセルバの42%をジュヴェ・カンプスが占めている。アメリカでは64%のグラン・レセルバが、スペインでは80%が、日本では20%が、ジュヴェ・カンプスだ。まさにグラン・レセルバのカバを象徴するワイナリーで、スペイン国内では、ミシュラン13軒の三つ星のうち10軒が採用している。

ブランドアンバサダーのイアン・フォード氏と、ジュヴェ・カンプスの現行アイテム。中央の黒に金字のボトルは、瓶内熟成108か月の最高級カバ(パラヘ・カリフィカード)の「ラ・カペラ 2010」。

「ジュヴェ・カンプスにとって、ペネデスの在来品種のうち、主役中の主役がチャレッロだ。アロマの特徴がビシっと決まっており、ここにジュヴェ・カンプスの個性が極まっている」と、フォード氏。同社のチャレッロ栽培の歴史は1796年に遡る。
現在はペネデスの3つのエリアに271haの畑を所有し、すべてオーガニック認証済。畑の管理から二次発酵後の瓶詰めまで、すベてを自社で管理する「Integral Producer」である(カバでこの認証を持つのは2023年現在15社のみ)。

「レセルバ・デ・ラ・ファミリア 2018」(右)と「グラン・ジュヴェ 2017」。

「ジュヴェ・カンプスの魂」とフォード氏が謳う2つのグラン・レセルバがある。

「レセルバ・デ・ラ・ファミリア」
 これはもともと販売用ではなく自家消費用に造られていた。ファミリアはその意味。ジュヴェ・カンプスの代表作であり、世界的にも著名なカバの1種だ。瓶内熟成36か月以上。ドサージュなしのブリュット・ナチュレ。
その2018年を試飲した。品種構成はチャレッロ50%、マカベオ35%、パレリャーダ15%。厚みがしっかりしている上、その厚みに負けない豊かな柑橘やリンゴの果実味があり、酸も豊富。まだたっぷり寝かせられる。

「グラン・ジュヴェ」
1972年に誕生。厳選された区画のブドウを用い、瓶内熟成50か月以上、ジュヴェ・カンプスの底力を遺憾なく発揮する。ドサージュはブリュット。
2017年はチャレッロ50%、マカベオ30%、パレリャーダ10%、シャルドネ10%。エレガントであり複雑で、熟した柑橘、トーストやミネラルの香りもとれる。チャレッロの清涼感と、シャルドネの滑らかさ、その調和が取れていて余韻が長い。
「これは伝統的なキュヴェで、カバのアンバサダーと言える。世界のスパークリングワインのどんな優れものにも伍して劣らない」とフォード氏。

上述のブリュット・ナチュレの「ファミリア」とブリュットの「グラン・ジュヴェ」が久しく同社の双輪だ。
現在ワイナリーはブランドポートフォリオの刷新に取り組み、「ファミリア」をさらに長期熟成させる「グラン・ジュヴェ ブリュット・ナチュレ」を来年新発売の予定。単一区画、単一ヴィンテージ、単一品種のブランドには「ミレジメ」があるが、さらに長期熟成の単一区画、単一ヴィンテージ、単一品種の新レンジ「クロ(CLOS)」も開発中だと言う。

 

■チャレッロ100%の「ラ・カペラ」、パラヘ・カリフィカード

このプレスカンファレンスでは、チャレッロ100%のキュヴェも試飲した。

「ミレジメ・チャレロ グラン・レセルバ 2017」

ブリュット・ナチュレ。砂質土壌の8.5haの単一区画で、瓶内熟成36か月以上。「チャレッロのもっとも純粋な表現」とフォード氏は言う。骨格がしっかりし、酸がまっすぐに伸びている。健丈だ。レモンバーベナが清々しく、白い花が香り、フェンネルも漂う。

「ラ・カペラ パラヘ・カリフィカード 2010」
グラン・レセルバより上の格付け、カバの最高級を「パラへ・カリフィカード」という。今この称号をもつのは、カバ全体で10銘柄のみ。同社の「ラ・カペラ」はそれを有している。この称号の認定には品質が卓越していることに加えて、厳しい基準がある。小さな区画の特別な畑で収穫したもの、最大収量が8,000kg/ha、最大生産量が48hℓ/ha、単一ヴィンテージ、36か月以上の熟成、ドサージュはエクストラ・ブリュット、ブリュット、ブリュット・ナチュレのみ認められている。
試飲で披露された「ラ・カペラ」はブリュット・ナチュレ、瓶内熟成108か月以上と言う究極品である。7haの単一畑で、祖父母の代に植えたゴブレ仕立ての古木のチャレッロ。アプリコット、アーモンド、胡桃、カレースパイスが香る。口に含むとトロピカルフルーツ、焼いたバナナ、トーストなどの味に出合う。余韻の長さが熟成9年を奥行きを語り、アロマとフレーヴァーの彩りにうっとりする。チャレッロの面白さを存分に伝えてくれる逸品だ。

輸入元:明治屋

(N.Miyata)

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