【WANDS BUYER’S GUIDE】スペインのガルナッチャ

スペインといえば、真っ先に思い出す品種はテンプラニーリョ。作付面積でこれに続くのがガルナッチャ(フランスのグルナッシュ)である。そのガルナッチャ、以前は大量生産用の品種として広く栽培され、作付面積も1位だった。EUの減反政策で広く抜根されたが、今、あらためてこの品種に注目が集まっているという。スペインのガルナッチャの可能性について、ブラインドテイスティングを通じて探ってみたい。

構成:柳忠之

柳忠之(以下、柳):まず菊池さん、スペインのガルナッチャ事情を。

菊池貴行(以下、菊):量から質へと転換した最たる品種です。以前は大量生産の日常的ワインでしたが、90年代にプリオラートのルネッサンスがあり、ガルナッチャの可能性が世界的に広まりました。その後、アルバロ・パラシオスが実家のあるリオハでガルナッチャのポテンシャルを引き出し、テルモ・ロドリゲスが標高の高いグレドス山脈に目をつけた。そうした流れがラ・マンチャのメントリダなどにも波及していきました。

柳:井黒さん、フランスのグルナッシュと比較してどうですか?

井黒卓(以下、井):香りが違いますね。フランスの方がワイルドで動物的な香りのするワインが多く、スペインはスミレっぽさや果実など華やかなものが多い。スペインのガルナッチャのほうがより親しみがもてると感じました。シャトーヌフ・デュ・パプって好きな人は好きですけど、苦手な人も多くて、なかなか積極的にすすめづらいんです。逆に今回エントリーがありませんでしたが、グレドス山脈の「コマンドG」をお客様にすすめたことがあります。

名越康子(以下、名):なんと(笑)。私はガルナッチャというと、シャトーヌフ・デュ・パプの「シャトー・ラヤス」がいわゆる理想型です。張りがあって澱みがなく、ピュアな果物そのものの表情をボトルの中に詰め込んだイメージ。そこから凝縮感たっぷりのプリオラートへと一挙に飛ぶんですが、今日、50本近いスペインのガルナッチャを試飲すると、ものすごく多様で驚きました。アルコールが高くてタンニンの粗いものもある一方、すごく繊細で果実と酸のバランスがとれたワインも見られました。

 

続きは、WANDS 1-2月号

【特集】躍進し続ける南アフリカワイン
【特集】スピリッツ・リキュールの多様性
【特集】イタリアの白ワイン
【BUYER’S GUIDE】 スペインのガルナッチャ

をご覧ください。

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