ルイ・ロデレール Louis Roederer/ブリュット・プルミエはバランスを追究したクリエイション

創立1776年の老舗メゾンであるルイ・ロデレールは今でも家族経営を継続し、現在フレデリック・ルゾーが率いている。一昨年は、1974 年のクリスタル・ロゼ発売以来の新作リリースでも話題を呼んだ。ドザージュなしの「ブリュット・ナチュール2006」だ。この特別なキュヴェには「つづき」があるとも耳にしていた。

 

<ドザージュとマロラクティックの関係>

ルイ・ロデレールのもうひとりの顔、醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨンに、ロデレールの看板でノン・ヴィンテージの「ブリュット・プルミエ」を中心に、ドザージュの考え方について尋ねた。

「ブリュット・プルミエ」のドザージュ量は、およそ9〜9.5g/lだという。実はもう少し低めではないかと思っていた、と漏らすと「ドザージュしたと感じないのが、よいドザージュだ」と、笑う。

ドザージュ量は、果実の熟度、豊かさ、酸とのバランス、そしてドライエクストラクトとの関係で決める。例えば、2009年のように葡萄の熟度が高い年は少なめだ。デゴルジュマンの時期によっても異なる。「ともかく、常にバランスを考えることが重要だ」。

また「9g/lでノン・マロラクティックのワインは、4g/lでフル・マロラクティックに等しい」という。ルイ・ロデレールでは、基本的にマロラクティックは行わない方針をとっている。1960年頃から、多くのメゾンがマロラクティックし始めたが、ルイ・ロデレールは「しないままにする」と決めたのだ。理由は、完璧な葡萄が得られれば、マロラクティックは必要ない、という信念があるから。「料理でいえば、マロラクティックはソースと同じ存在だ」。

加えて、マロラクティックはテクスチャーを与えるが、新鮮な果実の香りを火を通した果実の香りに変えてしまう。「ルイ・ロデレールには春の果実のような輝き、ユズのような柑橘類に似たフレッシュ感が必要」なのだという。

 

<1999年からの変化>

ジャン・バティスト・レカイヨンがルイ・ロデレールの醸造責任者に就任したのは1999年だ。当時は、マロラクティックをまったく行わず、ドザージュは10〜11g/lだった。今でも生産量の70%以上を賄う自社畑の葡萄はすべてノン・マロラクティックだが、購入葡萄の一部は天候次第でマロラクティックを行うことにした。

「ブリュット・プルミエ」を除く上級キュヴェにはすべて自社畑の葡萄を使用しているので、マロラクティックの比率は「ブリュット・プルミエ」のおよそ30%のみ。しかし微調整は毎年行われ、暑い2009年はノン・マロラクティックで8.5g/l。少し冷涼な2010年は10.0g/l、2011年は9.0g/l、今デゴルジュしている2012年は8.5g/l(編注:取材は2016年4月半ばに行った)。「ターゲットは、ドザージュを下げることではなく、葡萄とのバランスをとること」。

<ビオディナミの効果> <バランスを追究したクリエイション> <ブリュット・プルミエの異なる顔>へ続く

本稿はウォンズ2016年6月号のシャンパーニュ特集「シャンパーニュのドザージュの変化に関する考察」に掲載したひとつの記事です。ウォンズ本誌のご購入・ご購読はこちらから

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