ペリエ ジュエの真髄 グラン ブリュットができるまで 〜畑から食卓まで〜 その2 グラン ブリュットを創り出す技術と感性

1811年創業で200年以上の歴史あるメゾン「ペリエ ジュエ」は、その優雅さとエレガンスの極み「ベル エポック」で知られるが、一番の顔である「グラン ブリュット」においても共通したアスペクトを感じとることができる。エレガントでフローラルな「グラン ブリュット」ができあがるまでの行程を、最高醸造責任者エルヴェ・デシャンに聞いた。

 

その2  グラン ブリュットを創り出す技術と感性

<収穫から醸造まで>

葡萄栽培の総決算となる収穫が近くなると、忙しさが増し皆そわそわとし始める。4週間ほど前から、いくらか葡萄を潰して酸や糖度を調べ、過去の分析値と比べておよその収穫日を測る。最高醸造責任者を務めるエルヴェ・デシャンでも頻繁に畑に通うのは、成分的なことだけでなく葡萄を実際に口にして果実の風味を自らの感覚でチェックするためでもある。週に2度、3度と味見して、天気予報もにらみながら収穫日が決められる。

「成熟についての知識が蓄積され、以前より質の高い葡萄を収穫できるようになってきている」という。手摘みされた葡萄は、なるべく近い場所にある圧搾機でゆっくり時間をかけて果汁を得る。フレッシュで上質な果汁を得ることが、グラン ブリュットの透明感への第一歩となる。

透明感という感覚は、とても重要なファクターだ。ペリエ ジュエでは、アルコール醗酵に使う容器をオーク材の木樽からコンクリートタンク、そしてステンレスタンクへと代えてきた。オークからコンクリートへの移行は1950年代初頭で、他社に先駆けての導入だった。ペリエ ジュエが求めるスタイルには、よりニュートラルな器が必要だと考えたからだ。

ちなみにペリエ ジュエでは、100%マロラクティックを行っている。「かつて、マロラクティックをしていない時代には5年以上瓶熟成をしなければならなかった」。なめらかなバランスを得るための期間だ。

さて収穫した翌年の春には、数々のベースワインとリザーヴワインをアッサンブラージュするという、大仕事が待っている。それまでは、できたてで酸たっぷりなワインを定期的に試飲してそれぞれのワインのもつ特性を把握する。ある意味で過酷な任務だといえる。

 

<アッサンブラージュの極意>

リザーヴワインは、およそ14〜20%ブレンドする。前年までのグラン ブリュットを、フレッシュ感を保つためタンクで寝かせておいたもので、約5年分を取り置いている。リザーヴワインは、グラン ブリュットの品質とその一貫性を保つためのサポート役であり、DNAのような存在だ。ここでもフレッシュさがひとつの鍵となる。

ただし、10年前の2006年など例外的に古いものも少しある。また、時にはリザーヴワインとして「ベル エポック」をブレンドすることもある、というので驚いた。いつ頃どのぐらいブレンドしたのか、今度内緒で聞いてみようと思う。

一方ベースとなるできたてのワインは、1級畑と特級畑のおよそ40のクリュの葡萄を使用する。品種構成は、シャルドネ50%、ピノ・ノワール30%、ムニエ20%という比率が目安となる。しかし、この複雑なアッサンブラージュという仕事は、実にアーティスティックだと感動する。なぜなら、瓶内二次発酵と瓶内熟成を経たおよそ3年後の姿を見据えて、その素を創り出すのだから。

アッサンブラージュについて、エルヴェ・デシャンはこんな風に語った。

「常に霞のようなものがあり、その中の何かが私を導いてくれていると考えている。それはアロマではないかと思う」。

いくら技術が進歩しても、人は自然をコントロールすることはできず、葡萄の出来は毎年異なる。だからこそ「今年は良い年になりそうだ、など、自然のもたらす高揚感を得られる瞬間があるからこそ、33年間この仕事を続けてこられたのかもしれない」とも言う。

「アッサンブラージュは、自然に委ねる部分と自分自身でクリエイトする部分がある。もともと自然がもらたしたものを選びワインに仕立て、組み合わせていくという仕事だ」。まさにセンスが問われる職人技なのだ。(Y. Nagoshi)

(画像提供/輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン)

ペリエ ジュエの真髄 グラン ブリュットができるまで 〜畑から食卓まで〜

その1 グラン ブリュットのベースとなる葡萄

その2 グラン ブリュットを創り出す技術と感性

その3 酵母のマジックと仕上げのスパイス

その4 グラン ブリュットのあるべき姿とその継承

その5 食卓にてグラン ブリュットに華やぎを

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