シラー特集/北部ローヌ Syrah from Northern Rhône

シラー特集にあわせて、シラーの本拠地ともいえる北部ローヌを訪れた。コート・ロティからコルナスまでのそれぞれのアペラシオンを代表する生産者、若く新しい造り手9軒を訪ね、各AOCの特性を見ながら新たな動きも取材した。

 

近年の動き

他国、他地域でも同様の動きがあるが、北部ローヌでも「なるべく介入しない造り」を念頭に置く造り手が増えていると感じられた。やはり、畑での仕事の重要性を見直し、従来型からサステイナブル、有機栽培、ビオディナミへと移行していることも関連しており、より自然を尊重するという考え方に基づいている。例えば自然酵母のみを使用し、培養酵母は使っても白ワインだけでヴィオニエの発酵を確かに完了させるため、など。

ただ、醸造についての手法は様々だった。ステンレスタンク、コンクリートタンク、木製発酵槽、どれを使うかはそれぞれのポリシーによる。醗酵温度をコントロールするか否か、マセレーションは短いのか長いのか、ピジャージュかルモンタージュか、これらはどのようなワインを造りたいのか、あるいはヴィンテージの特徴によって変わってくる。

ひとつ言えることは、いくつか訪問した若く新しい造り手の場合にはエレガンスを求め、あまり抽出せず、樽の影響が出ない造りを心がけていることだった。これも世界の潮流と同じだ。

また、以前から単一畑のキュヴェは存在するものの、とみに「テロワール」をそのまま映し出したキュヴェを望み、単一畑や単一区画の銘柄が増える傾向にある。異なる個性をブレンドしてバランスをとる銘柄と、突出した個性をそのまま見せる銘柄が存在し、産地の個性を俯瞰することも小さな畑をクローズアップすることもできるのが面白い。

 

訪問先:レ・ヴァン・ド・ヴィエンヌ @Vienne/ドメーヌ・ガロン @Côte-Rotie(日本未輸入)/ギガル @Côte-Rotie/ジュリアン・ピロン @Condorieu/M.シャプティエ @Hermitage/ポール・ジャブレ・エネ @Hermitage/ドメーヌ・グライヨ @Graillot/ギョーム・ジル @Cornas(日本未輸入)/ヴァンサン・パリス @Cornas(日本未輸入)

<近年のヴィンテージの特徴>

*2016年/クラシックでフィネスがありブルゴーニュ的

*2015年/密度とボディと凝縮感

*2014年/冷涼でピュア

*2013年/タイトでクラシック

*2012年/ソフト

(Y. Nagoshi)

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