賑やかな14社の造り手たち ローヌ・ヴィニョーブル

ローヌから、14名の生産者が一気に来日するという連絡を受けた。一体どのようなグループなのか、実際に来日するまでよくわからなかったが、とても賑やかな人たちだった。フランスからのレポート「若さ、躍動、Rock’nローヌ!」(2017年6月号)を思い出した。

 

ローヌ・ヴィニョーブル Rhône Vignoble は、1991年に8名で結成したグループだ。それからずっと出入りがあり現在14社だが、最大でも15社までと決めている。どこも単独ではPRが困難な小規模な造り手で、グループになることで共にプロモーション活動を行おう、というのが目的だ。2ヶ月に1度は打ち合わせをしており、毎年地元で試飲会を開くだけでなく、ヴィニ・シュッドに共同で参加したり、他の産地に視察に行ったりしている。各国で試飲会などを開催するようになっており、今年は日本と韓国の番だった、ということだ。入会の条件は「同じスピリッツ、哲学、フィーリングを備えていること、そしてもちろんワインの質が高く、友好関係を保てること」だという。彼らは、その情熱をロックで表現しようと思い立ち、プロの演奏家も招いてPR用のディスクもつくってしまった。音楽と共に彼らのワインも楽しんでほしい、というメッセージが込められている。

メンバーの4社と主なワインは、以下の通り。説明を聞けたドメーヌについてだけ記す。

Domaine Jean-Michel Gerin/コート・ロティ、コンドリュー

Domaine Yves Cuilleron/コンドリュー、コート・ロティ、サン・ジョセフ、コルナス

Domaine François Villard/コンドリュー、コート・ロティ、サン・ジョセフ

Domaine Louis Cheze/サン・ジョセフ、コンドリュー

Domaine Combier/クローズ・エルミタージュ

Domaine Graillot/クローズ・エルミタージュ、サン・ジョセフ

Domaine Courbis/サン・ジョセフ、コルナス、サン・ペレイ

Domaine Alain Voge/コルナス、サン・ペレイ、サン・ジョセフ サン・ペレイは第二次世界大戦前にはスパークリングワインでとても有名だった。85haほどのAOCでまだ生産者は少なく、アラン・ヴォジュでは7年前から再開し、現在7,000本ほど造っている。古木のマルサンヌのみを用いている。マルサンヌだけを使用する理由は「マルサンヌは花や緑のアロマがあり強すぎず、リッチでまろやか。ルーサンヌは夏の香りがし、病気にかかりやすく、酸化も還元もしやすくとてもセンシティブだから」。

Domaine Delubac/ケランヌ

Domaine de Montvac/ジゴンダス、ヴァケイラス

Domaine de la Janasse/シャトーヌフ・デュ・パープ 「シャトーヌフ・デュ・パープ2014」は、100%グルナッシュで畑は北東部に位置する。「砂質のフレッシュな土壌で、収穫は遅かった」。しっとりとした香りと味わい。

Domaine de Beaurenard/シャトーヌフ・デュ・パープ、ラストー

Domaine de la Citadelle/リュベロン

Château Revelette/コトー・デクサン・プロヴァンス 「メディテラネ・ル・グラン・ブラン2015」はI.G.P.で、標高400mの畑のシャルドネ、ルーサンヌ、ソーヴィニヨンのブレンド。10時間スキンコンタクトしフリーランのみ使用。醗酵は大樽にて行い、その後熟成中に週に2回バトナージュを施す。

 

ドメーヌ・イヴ・キュイユロン

イヴ・キュイロンは1987年に、祖父が興したドメーヌを継ぎ、遅摘みのコンドリューやコート・ロティでも知られている。「すベてを理解し尽くすことなどありえない」と考えている。だから毎年変化のあるワイン造りに終わりはなく面白いと感じている。

例えば、コート・ロティの場合「自然酵母でブルゴーニュのようにシンプルに造る」。オープンタンクでピジャージュとルモンタージュしながら3週間マセレーションするのが基本だが、ヴィンテージによって全房比率(約30%)もセニエするかどうかも変える。樽熟成は大樽と小樽半々で、新樽は40〜50%。

「コート・ロティ バスノン」は、シラーと10%のヴィオニエを混醸している。ヴィオニエの存在はやはりアロマに影響するのか尋ねると、頷いて「1825年の書籍にも、ヴィオニエのアロマがシラーのスミレのアロマをリフトアップさせる、と記してある」という。とても実直な性格で、何かひとつのことにとらわれることなく、自分で検証を重ねながら栽培や醸造に取り組んでいるようで、それがワインの味わいにも表れていると感じられた。

コート・ロティの対岸にある伝説の丘「セイシュエル」からの新作「リパ・シニストラ テール・ド・ヴィエナエ2011」は、とてもエレガントだ。ガイヤール、ヴィラールと共に打ち捨てられたかつて高明だった畑を開墾し、1996年にシラーを植え、1998年から3人別々に醸造している。2011年はまだヴァン・ド・ペイだがすでにコート・デュ・ローヌに昇格することは決まった。その後「クリュ」を認可され、いずれ単独のAOCとなるよう活動を続けるようだ。ただし「サヴォワにも似たような名前があるから、INAOはセイシュエルという名は使いたくないようだ」。 (Y. Nagoshi)

続きはWANDS2018年6月号をご覧ください。
WANDS2018年6月号は「夏のスパークリングワイン」「ブルゴーニュワイン」「ビール」特集です。
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