カリブ海のカーニバルとアイラの出会い~「アードベッグ・デー 2019」

世界中のアードベッグの熱狂的なファン“アードベギャン”が心待ちにしているという、年に1度、世界同日に行われる祝日「アードベッグ・デー」。2012年にスタートし、毎年テーマを変え、その年だけの限定アイテムが登場する。今年は5月31日(金)6月1日(土)、日本ではモンスーンカフェ 代官山で開催された。

 

今年のテーマはカリブ海の「Carnival(カーニバル)」。会場はトロピカルな装飾が施され、トリニダード・トバゴの音色を楽しく奏でるスティールパンの演奏、本場のカリビアンダンスのパフォーマンスなど、実に陽気な雰囲気。その中でお披露目された今年限定のアイテムは「アードベッグ ドラム」。バーボン樽で熟成したのち、ラム樽で追加熟成を施した。ピーティーでスモーキー、かつ重厚。それがアードベッグのイメージだが、重厚ではなく、軽やか。ストレートで味わっても、すでにアロマティックでトロピカルな冷水で少し開かせたような感覚がある。その中にパイナップルやバナナのような溌剌さと完熟さ、リンゴのような爽やかさ、シナモン、胡椒、ショウガのスパイス、コーヒーやバニラといったカリブの午後を思わせるアロマなどが複雑でありながらも楽しく弾んで抜けていく。なるほどカリブのカーニバルを、涼し気なリゾートホテルのテラスバーから眺めているような気分。リゾートエレガンスな装いが良く似合う。余韻は、そのカーニバルのパレードが去りながらも音色や歓声が、青空の下で少しずつ遠ざかっていく…そんなロマンティックな感覚があった。

 

この日は「アードベッグ ドラム」の他、「アードベッグ 10年」、「アードベッグ ウーガダール」、「アードベッグ コリーヴレッカン」、「アードベッグ アン・オー」なども登場したが、これらと比較すると最も「いつものアードベッグ」からは遠い存在だろう。シェリー樽(ウーガダール、アン・オー)よりもアイラから物理的に距離があるラム樽を使ったから…ということではないだろうが、まずは味わった瞬間の軽やかさが際立った。それでもやはりアードベッグらしいピーティーでスモーキーなキャラクターは十分。カリブの島々とアイラ島。両極端にも思える場所が一つのグラスの中で融合する面白み。会場のトロピカルで陽気な雰囲気がもたらすマジックとあいまって楽しめた。(Daiji Iwase)

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