プレミアムウイスキー 「ニッカ セッション」発売 6年ぶりの新ブランド

アサヒビールは、子会社のニッカウヰスキーが製造するウイスキーの新商品「ニッカ セッション」を9月29日から発売する。ニッカの新ブランド発売は2014年の「ザ・ニッカ」以来6年ぶり。ウイスキー人気が続くなか、プレミアムクラスは原酒不足による出荷調整で減少していることから、日本とスコットランドのモルト原酒をブレンドした新たなブランドを立ち上げることで、自由なスタイルを提案し、新たな顧客獲得につなげる。
 「ニッカ セッション」は、ニッカウヰスキーが保有するスコットランド「ベン・ネヴィス蒸溜所」のフルーティなモルト原酒と、華やかな香りのスコットランドのモルト原酒、日本の「余市蒸溜所」で製造された力強くビターな味わいの余市モルト原酒、「宮城峡蒸溜所」のふくよかな味わいの宮城峡モルト原酒を国内でブレンド。互いの個性を発揮しながら奏でる音楽をイメージし「ニッカ セッション」と名付けた。
華やかな香りとモルトの香ばしさ、なめらかな口当たりとオーク樽の甘さが調和した軽やかな味わいが楽しめ、ゆっくりと広がるほのかにビターなピートの余韻が特長。パッケージは珍しい青いボトルで、新たな創造や潮流をイメージ。
Abv.43%、700mlびん、参考小売3800円。一年間で販売5万ケース。

右から桐山次長、女川主席ブレンダー、坂本担当課長

 

 

■将来に向けたファンづくりに課題意識■
9月17日に行ったweb発表会でアサヒビールワイン・スピリッツマーケティング部の桐山修一次長は開発の経緯について「ウイスキー市場は順調だが2000円以上のクラスは原酒不足による出荷調整で減少。将来に向けたファンづくりに課題意識を持つようになった」と説明する。
2019年のウイスキー市場は前年比107%で、順調な成長を続けており、コロナ禍で今年は業務用が振るわないものの、家庭用が2ケタ増と好調。1000円未満のエコノミークラス、1000円以上2000円未満のスタンダードクラスが伸びをけん引する一方で、2000円以上のプレミアムクラスは2016~2019年と減少を続けている。
こうした現在を未来に向けた準備期間と位置づけ、ニッカウヰスキー100周年にあたる2034年に向けて生産体制を強化。あわせて「お客様に目を向け、2018年より既存プレミアムウイスキーの価値探索、これからのプレミアムウイスキーに求められる価値探索を行ってきた」(桐山次長)。

 

■新ブランドでは新たな世界観を構築■
「ニッカ セッション」ではこれまでウイスキーカテゴリー内で飲み方・楽しみ方を調査していたのに対し、今回はウイスキー飲用者以外まで広いユーザー層を対象に「生活行動において“プレミアム”に感じている関心ごと・お気に入りの物事などを調査。その結果、プレミアムウイスキーに対する“重い・暗い”といったネガティブな考えや、“感性を高める冒険やスマートな生き方”といった今後求められる価値観が見えてきた。それらを踏まえ、新ブランドではこれまでの「重厚・本格・伝統」から「感性・センス。自由なスタイル」というウイスキーの新たな世界観を構築した。

■“ウイスキーらしさ”のとらわれない自由さ■
 開発を担当したニッカブレンダー室の女川裕司主席ブレンダーは、2007年に新ジャンル「アサヒオフ」等、2016年には本格焼酎「金黒」を開発し、2018年からニッカウヰスキーブレンダー室に所属。「これまでのウイスキーづくりに対する常識や先入観にとらわれず、本当に美味しいものとは何かを常に考えていた。余市や宮城峡だけではない味の感じをイメージし、今回の開発の話を聞きぜひやってみたいと手を挙げた」という。「様々なお酒のフレーバーを経験しているからこその、いい意味での新しさを表現できたと思う」と開発にあたっての思いを話した。
「ニッカ セッション」のテイスティングでは「香りはオレンジなどの柑橘、切りたてのりんごのような瑞々しい爽やかさとモルトの甘さ、香ばしさ。樽由来の穏やかで心地よいバニラ香。味わいはなめらかでクリーミーな口当たり。オークの甘さと調和したフルーティで軽やかな味わい。甘酸っぱさとドライフルーツ、ややスパイシーさも感じられる。余韻はほのかにビターな味わいと、ピートの余韻がゆっくり広がる」と説明した。

■”セッションソーダ”で新チャネルにもチャレンジ■

飲み方では、ウイスキー1対炭酸3で弾ける泡が華やかな「セッションソーダ」を打ち出す。ビターや香ばしさはバイプレイヤーにまわり、ポップに広がる爽やかでフルーティな香りと、甘みのあるコク豊かな味わいが主旋律に躍り出る。口当たりは優しく、軽やか。清涼感に負けない、熟成を重ねたモルトの甘さが、旨みを含んだ繊細な塩味と互いに引き立てあう。「例えば新鮮な青魚や山菜の天婦羅、生ハムなどとともに」としており、ウイスキーとは合わせづらい、イタリアンやバルといった業態にも提案していく。

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