ブラッド・ピットは沈黙を貫く。謎のベールに包まれたロゼ・シャンパーニュ「フルール・ド・ミラヴァル」

世界で最も有名なロゼワインは、間違いなくプロヴァンスの「ミラヴァル」だろう。俳優のブラッド・ピットと南ローヌの名門ワイナリーであるペラン家による、華麗なるコラボレーションだ。そこにシャンパーニュのペテルス家が加わり、ロゼに特化したシャンパーニュ・ハウス「フルール・ド・ミラヴァル」を興した。

 

2020年10月15日に各国へリリースされたが、どこか謎めいた様子だった。ブラッド・ピットは、「セレブリティーワインではない」とだけ言い、沈黙を貫き、造り手側も多くは語らず、謎に包まれた存在のままだった。ところが、初リリースの ”Fleur de Miraval Rosé <ER1> NV” に続く ”Fleur de Miraval Rosé <ER2> NV” が日本でリリースされたタイミングで、一部の情報が公開された。さて、このボトルの中身とは。

 

7つの要素

「フルール・ド・ミラヴァル」のプロジェクトは2015年から極秘で始まっていたと言う。「ミラヴァル」始動の2012年から間もなくのことだ。アイデアもパッケージデザインもブラッド・ピットによるのだそうだ。そして、背景には7つの要素が隠されている。

①ロゼに特化したシャンパーニュ・ハウスであること。

そして、拠点は、コート・デ・ブランのメニル・シュール・オジェに置いた。

②ワイン造りは、2つの名門がタッグを組んだこと。

ボトルやラベルに記されている紋章のようなマークは、”P”が重なり合っている。これは、Peters 、Pit、Perrinの3つのPを表している。南ローヌの名門ぺラン一族の5代目マーク・ペランの次男ピエール・ペラン、そしてマークと親交が深くピエール・ペテルスの6代目であるロドルフ・ペテルス。この2名が造りに携わっている。ペランはセニエによるロゼワインのエキスパートであり、一方でペテルスはシャンパーニュにおいて重要なリザーヴワインやブレンドの技術に長けた人物として知られている。

③彼らが自由な発想で、今までにないクリエイティブなロゼを生み出したこと。

④謎めいた様子の理由のひとつが、「熟成したシャルドネと若いピノ・ノワールのブレンド」にある。

⑤様々なタイプのリザーヴワインをブレンドした「マルチ・ヴィンテージ」であること。例えば、最も古いヴィンテージが2007年のパーペチュアル・リザーヴ(複数年をブレンドしたリザーヴワイン)や、すでに瓶詰めされているブラン・ド・ブランのミレジメも使用されていると言う。これが「4」の「熟成したシャルドネ」を意味している。ちなみに、これらのシャルドネはピエール・ペテルスで保管しているものだけではないらしく、その良質な熟成したシャルドネを買い揃えるのが至難の業のようだ。

⑥そして、毎年新しいエディションが数量限定でリリースされる。

⑦ある一定の情報はこのように教えてくれるようだが、詳細は厳重に守られ秘密のままだそうだ。

 

「熟成したシャルドネと若いピノ・ノワール」の共演

ロドルフとマークが共通して言うのは「熟成したシャルドネの味」の素晴らしさ。しかし、彼らにとってシャンパーニュ地方のピノ・ノワールはシャルドネのようには熟成せず、シャンパーニュでブラン・ド・ブランと同じような高い品質のロゼに出会ったことがないと言う。だから、ブラッド・ピットによる「ロゼだけのシャンパーニュ・ハウス」のアイデアを実現させるために、シャルドネの聖地でありブラン・ド・ブラン王国のコート・デ・ブランにおいて、熟成したシャルドネを核として(軽く還元したシャルドネも加え)フルーティーなピノ・ノワールをブレンドするという方法に思い至った。

<ER1>と<ER2>を試飲すると、どちらにも言えるのは幻想的なロゼ・シャンパーニュであり、泡立ちが穏やかでワインのような上品な味わいで、余韻がとてもミネラリーであること。確かに「セレブリティーワインではない」と言うように、華やかさや派手さを感じるタイプではない。ある意味でわかりにくいワインかもしれない。しかしかえってその点がワイン・ラヴァーの気持ちをくすぐるのではないかと感じた。(Y. Nagoshi)

輸入元:ジェロボーム

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