エステート・ディレクターのロドリゴ・ソト氏に聞く クインテッサ2020年

「2020年のキーワードは複雑性と多様性。山火事など多くのことが起きた年ではあったが、一定以上の品質が得られた。それにはクインテッサの土壌、微気候、生物多様性などが貢献した」とソト氏。

「当初は順調だったが8月と9月末に2回山火事が起きた。例年は山火事があっても収穫が終了してからだが、2020年は異なる。注意深く見守り、精査した結果、通常の3分の1だけ生産した」。

この年のブレンド比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン87%、カベルネ・フラン7%、カルメネール4%、プティ・ヴェルド2%。これまでよりカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が若干少ない。カリフォルニア産赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが多いが、クインテッサでは今後も敢えてそのほかの品種の割合を高くしていきたいという。カベルネ・フランやカルメネールの樹齢も上がってきたので、徐々にブレンド比率が増えている。

「また、これまでナパ・ヴァレーではフレッシュさはあまり評価されてこなかったが、変化しつつある。フレッシュさ、スパイシーさやアーシネスは、今では褒め言葉だ。畑でも酸、フレッシュさの保持に工夫しており、バイオダイナミック農法も大いに貢献している。バイオダイナミックは、気候変動にも適応するためにも大切だ。テロワールをリスペクトし、細かく観察しより精密な栽培を行う。それによりブドウの潜在能力を十分に引き出すことができる。ブドウが育ちたいように育てること、なるべく余計な手をかけないことが重要で、そのためには土地の個性を十分に知ることが鍵となる」。

このエステートは、東はヴァカ山脈、西側はナパ川が敷地の境を形成し、中央には湖がある。丘陵地帯に広がる畑は、標高、向き、土壌の種類や深さも異なる。これらを組み合わせて造るクインテッサは、テイラーメイドのワインと言える。(Y. Nagoshi)

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