最高蒸留・製造責任者のラムズデン博士に聞く、「グレンモーレンジィ」12年にグレードアップの理由

MHDモエ ヘネシー ディアジオが扱う「グレンモーレンジィ」は、“すてきに、デリシャス”なハイランドシングルモルトウイスキーとして、フルーティかつ華やかな味わいでビギナーからエキスパートまで多くの人々を魅了する。
そのグレンモーレンジィのフラッグシップ「オリジナル10年」がこのほど、「グレンモーレンジィ オリジナル12年」にグレードアップされた。
フラッグシップを切り替えた理由や新たな12年の味わいなどについて、最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士に聞いた。

ビル・ラムズデン博士(左)とブランドアンバサダーのボブ・ストックウェル氏(右)

■より良いウイスキーを求めて
「グレンモーレンジィ オリジナル10年」は約180年前に創業者たちによりリリースされて以来、その芳醇な香りと繊細な味わいで、世界中のウイスキー愛好家に親しまれてきた蒸留所が誇るフラッグシップウイスキーだ。
「180年のオリジンとして“デリシャスな10年”は完璧なウイスキーと考えていました。それを変更することを目的としたのではありません。しかしより良いウイスキーがあるのではないかという追求は常に続けていて、様々なトライの中で12年熟成が絹のような滑らかさ、甘さ、複雑さがさらに増すことを見つけました」。

2024年8月21日より順次発売された「グレンモーレンジィ12年」(700㎖6,875円、350㎖4,125円)

変更にあたっては、クリエイションチームとの間で数年にわたって検討が続けられたという。
「このトライの中では、『オリジナル10年』では6対4だったバーボン樽の1stフィルと2ndフィルの比率を様々に変えてみたり、1stフィルバーボン樽100%というのも試してみたりしました。少しだけシェリー樽熟成原酒やポートワイン樽熟成原酒を加えてみたりもしています。いろいろと試しましたが、結果的には使用する樽の種類や使用比率は変えずに2年間長く熟成させた原酒を使うことで、これまでの10年が持つ特徴はそのまま、よりなめらかでよりクリーミーでより複雑な味わいに“アップグレード”させることができたと思います」。
フラッグシップ商品の変更にあたって懸念や葛藤がなかったわけではないようだ。特に日本市場では抵抗感を感じた方が多かったのではないか、と配慮を見せる。
「直截に言うと日本の方々はウイスキーをより深く理解してくださっている方が多いと思います。他の市場なら特にこだわりなく10年が12年に変わったことをそのまま受け入れられるでしょう。味わいとしては12年と10年はできるだけ同じようにしたかった」。
出来上がった12年のサンプルを、10年とともに官能評価のプロ35名で構成する当社のセンサリーパネルに送って完全なブラインドの状態でテイスティングを行い、「どちらか好きなものはあるか」というシンプルな質問をしたところ、95%が好きと答えたのが今回ローンチした『グレンモーレンジィ オリジナル12年』だったという。
「スタッフは大変喜んでいましたが、私はある意味ポジティブではあるが多少の不安を感じるほどでした。予想外の結果でしたが、これで行こうということになりました。10年は花のような繊細さがあり、12年の方がやや深みがある。味わいは、10年は桃やバニラ、柑橘の味わい。12年はもう少しバニラやハチミツの感じがあります。キャラクターとしては非常に近いものだと思いますが、パレットのクリーミーさ、そしてかなり訓練されたテイスターによるものということが、思った以上に圧倒的な支持の差になったのだと思います」。

ローンチ記念イベントを9月13~16日に六本木ヒルズで開催

 

2024年8月より順次リニューアルの「グレンモーレンジィ インフィニータ18年」(希望小売19,360円)

■名称変更の「グレンモーレンジィ インフィニータ18年」
また8月には、「グレンモーレンジィ18年」をパッケージ変更し、名称も「グレンモーレンジィ インフィニータ18年」に変更して順次リニューアル発売している。
「これは長いこと改善のテーマでした。約30年前にグレンモーレンジィ社に入社した当時、私の個人的な好みでは、18年はシェリー樽のニュアンスが強すぎると感じていて、98年にマスターディスティラーになった際にまず手を加えたものでした。そこで、バーボン樽で15年熟成させたもののなかから30%はオロロソシェリー樽に移し替えて3年間追加熟成させています。その結果、よりエレガントで複雑、バランスの取れた味わいとシェリーカスクのほのかな香りが感じられ、よりグレンモーレンジィのハウススタイルに合致したものとなりました。このレシピはこれまでと同じものなのでご安心いただきたい。外装が神秘的なブルーを基調に、グレンモーレンジィカラーのオレンジ色で描かれたライン模様のシンボルで、18年の風味が無限(=インフィニータ)に続くさまを表現しています」。

■“実験蒸留所”が本格稼働
ラムズデン博士は今後もさらなるおいしいウイスキーづくりを目指して精力的な取り組みを続けていくという。
「ウイスキー研究のために2021年に建設した『ライトハウス蒸留所』が3年を経過し、いよいよ、色々なことが試験できるようになります。既に実験のなかから生まれた2つのサンプルが、通常の生産ラインに乗ることが決定しています。ニューメイクでの実験からのものなので、実際に市場にリリースされるのは8年後かそれ以上後になるとは思いますが。他には、より長熟のグレンモーレンジィなどはもう少し早く発表できるので、楽しみにしていただきたいと思います」。

 

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