- 2024-12-10
- NEWS, Wine, Wines, フランス France, ブルゴーニュ Bourgogne
ブルゴーニュワイン委員会は、2024年ヴィンテージに関する情報を以下のように発表した(2024年11月)。
品質が良く、数量もそろった 2023 年の後、2024 年はシーズンを通して厳しい年となった。しかし、昨年に比べて数量は少ないものの、品質は間違いなく高いヴィンテージとなるであろう。2024 年はシーズンを通して不安定な気候条件が見られ、収穫量に大きな影響を与えたが、その一方で、果房の風通しが良くなり、健康なぶどうが育った。入念な選果と慎重な醸造によりぶどうのポテンシャルが最大限に引き出され、白ワイン、赤ワインともに風味豊かな仕上がりが期待されている。
醸造はぶどう畑に再び笑顔をもたらし、その成果はシーズンを通じて休むことなく献身的に取り組んだ生産者たちへの大きな報酬となっている。
醸造条件は非常に良好で、発酵は順調に、そして速やかに進行した。そのため、ワインのバランスは十分に整い、完成度の高い仕上がりが期待されている。これからさらに深みを増 し、喜びを与えてくれるワインとなるだろう。
白ワイン:バランスが良く、はっきりとした輪郭
9 月中旬まで日照に恵まれ、2024 年の白ワインは素晴らしいバランスを保ち、新鮮な果実やかんきつ類のニュアンスが感じられる。特にブルゴーニュ/Bourgogne の白ワインらしい爽やかさと純粋さが際立ち、清々しい印象を与える。
赤ワイン:アロマ豊かで深みのある味わい
2024 年ヴィンテージは、キイチゴ、カシス、スグリといった小さな赤い果実の豊かな風味が特徴。ワインはとても率直で、アロマ豊かで味わい深く、魅力的なガーネット色を呈している。細かく繊細なタンニンが、ワインにフィネスとエレガンスを与え、洗練されたストラクチュアを作り上げている。
クレマン・ド・ブルゴーニュ/Crémant de Bourgogne
ベースワインのバランスが非常に良く、長期間のシュール・ラット熟成(ボトルを横木の上に寝かせて澱と共に熟成)に適した品質を予測させる。ワインは果実味豊かで軽やか、良い張りが感じられる。
シャルドネ/ Chardonnay は、アーモンドや白い花、アミル基の持つニュアンス(キャンディーやトロピカルフルーツ)が感じられる。エレガントなストラクチュアと、溶け込んだ酸味と程よい苦味が魅力。
ピノ・ノワール/ Pinot Noir は、よりしっかりとしたストラクチュアを持ち、サクランボやプルーンのニュアンスが感じられ、力強い味わい。ブラン・ド・ノワールや美食と合わせるロゼに最適である。ガメイ/Gamay は表情豊かで、味わい深く、イチゴやキイチゴのような赤い果実のニュアンスが特徴的。
2024 年ヴィンテージの気候
2024 年はブルゴーニュ地方をはじめ、フランスの大半の地域が異例の天候に見舞われた。降水量は例年を大きく上回り、降水のパターンは不規則であった。9 月末時点での累計降水量は年間平均降水量(756 mm)に近づいた。これに加えて、局地的ではあったが、霜や雹といった厳しい気象現象も発生。これらの過酷な条件が病害のリスクを高め、収穫量を守るためにはシーズンを通して多大な作業が必要であった。収穫は、ここ数年よりもかなり遅 く、9 月末に終了した。数量は少ないかもしれないが、収穫されたぶどうの熟度と醸造者の技術により、高品質なヴィンテージとなることが予想される。
2024 年は生産者にとっても、ぶどう樹にとっても非情に厳しい年であった。2024 年の天候は規格外の異常気象で、収穫に至るまで常に警戒を怠らず、懸命に働き、時には妥協を余儀なくされた。機敏に対応しながらも、最後の瞬間まで決して諦めず、自身を失わない生産者の姿が畑にはあった。
発芽は早く…
2024 年 2 月は例年よりも格段に暖かく、気温は例年より+ 3.6°C 高。3 月もこの傾向が続き、平均気温は例年比+1.5°C の上昇を記録した。特に 3 月中旬から大気が暖かくなり、気温は平均より 2.7°C 高かったため、発芽が早まった。
3 月 22 日には、シャルドネの早熟区画で最初の緑色の芽が確認されたが、3 月 23 日から 27日にかけて軽い冷え込みがあり、ぶどう樹の生長は一時的に制限された。復活祭の週末(3月 30~31 日)には、気温が再び例年を上回り発芽が進んだ。この段階で、発芽のペースは過去 20 年間の平均よりも約 10 日早かった。
4 月上旬には温暖な気温が続き、ぶどう樹の生長が加速した。わずか 2 週間で、4 月 1 日の緑色部分が見える段階から、4 月 15 日には 3~4 枚から 4~5 枚の展葉の段階まで進んだ。しかし、この急激な生長により、芽を守る綿毛が早いうちになくなってしまっていたため、ぶどう樹は不運にも霜害を受けることとなった。
寒波の襲来
4 月半ばから、産地全体で気温が急激に低下し、一部の晩霜の被害を受けやすい区画が影響を受けた。特に、4 月 18 日、21 日、22 日、24 日の夜間にかけて、霜害が確認された。生産者は気象予報に目を光らせ、湿度が氷点下の気温による被害をさらに悪化させる可能性を懸念しながら対応した。
一週間以上にわたる奮闘の末、コート・シャロネーズ/Côte Chalonnnaise、シャティヨネ/Châtillonnais、シャブリ/Chablisien、オーセロワ/Auxerrois、コード・ド・ボーヌ/ Côte de Beaune 南部など、複数の地域で被害が目にみえるようになった。ただし、深刻な被害は局地的なものにとどまった。しかし、4 月 29 日のさらに深刻な霜により、ブルゴーニュ南部の一部の区画(クルニソワ/Clunisois、クショワ/Couchois、マランジュ/Maranges)では、ぶどう樹が文字通り「焼ける」ような甚大な被害が発生した。この厳しい状況は、5 月半ばの「サン・ド・グラース(氷の聖人の日)」まで続いた。
5 月 1 日、雹の襲来
5 月、ブルゴーニュのぶどう畑は激しい雹害に見舞われた。例年に比べ非常に早い時期である 5 月 1 日、激しい雷雨がシャブリとトヌロワ/Tonnerrois を直撃。15 分間で 35mm の豪雨とともに雹が降り注いだ。一部の村では被害率が 60%から 100% に達し、シャブリ・グラ ン・クリュ/ Chablis Grand Cru やシャブリ・プルミエ・クリュ/ Chablis Premier Cru のいくつかのクリマ/Climat を含む約 2,000ha の畑が被害を受けた。
この雹害は序章に過ぎなかった。5 月から 8 月初旬にかけて、ブルゴーニュ全域で被害が続き、コート・ドール/Côte d’Or 、シャティヨネ/Chatillonnais、シャブリ、さらにはマコネ/ Mâconnais 南部まで広がった。地域により程度の差はあったものの、雹害の脅威は全域に影響を及ぼした。
開花期に見えた収穫量減少の兆し
2024 年の開花期は、暖かい気温が進行を促す一方、突然の冷え込みがその進行を遅らせるという不安定な気候に特徴づけられた。大半の区画で開花が完了したのは 6 月 17 日以降、急激な気温上昇が見られてからのこと。
開花のピーク(中間期)は 6 月 13 日で、2019 年あるいは 2021 年に近い状況であった。
開花期の間に頻繁に降雨があったため、花の受粉は部分的にとどまり、収穫量の潜在的な損失がこの時点ですでに明らかとなった。多くの区画では花ぶるいや結実不良が発生。果房は風通しの良い状態となり、その後の成長において有利な条件を生むことにつながった。6 月末から 7 月半ばにかけて、果房は、結実、果粒の肥大など、様々な生育段階を経ていった。
警戒を強めた成熟期
最初の果実の色づきは、コート・ドーで 7 月 20 日頃に観察された。7 月末には、すべての品種と区画で果粒の肥大が完了し、色づき(ヴェレゾン)が始まる。この時期、厳しい暑さと高い湿度の中で成熟が進行した。
このため、生産者はぶどう樹の管理、病気の拡散防止、草の生長の抑制など、絶え間ない作業に追われることになり、常に警戒を強めなければならなかった。特に、春から続く湿度の高さはベト病の発生を助長し、開花時から継続してリスクがあり、その影響が収穫量に現れた。
8月が収穫に貢献!
暑くて乾燥した 8 月のおかげで、状況は好転し、成熟に理想的な条件が整った。特に、ベト病にかかったぶどうは乾燥し、選果作業が容易になった。
ただし、8 月末から 9 月第 1 週は秋のような気候となり、引き続き警戒が必要であった。収穫のタイミングを決定するには熟練した目利きが求められ、最適な収穫日が決められた。 収穫は 9 月 2 日、クレマン・ド・ブルゴーニ向けのピノ・ノワールの区画で始まり、9 月 12日からはスティルワイン向けの収穫が続いた。日照に恵まれ、各区画でぶどうはよく熟すことができた。厳しいシーズンで収穫量は減少したものの、品質は高いものが期待される。生産者によれば、選果は厳しく、限られた収穫量のために収穫は素早く進んだ。カーヴに届いた果汁は豊かな風味を持ち将来有望で、また、アルコール度は過去数年よりも低めとのこと。
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