- 2025-7-1
- 未分類

イタリア、トスカーナ地方を代表するワイン産地であるキアンティ・クラッシコ。一度訪れれば誰もがその美しい丘陵地の景観に魅了されるに違いない。
6月初旬に、キアンティ・クラッシコ協会のディレクターを務めるカルロッタ・ゴリ氏、マーケティング・コミュニケーションズ・マネージャーのシルヴィア・フィオレンティーニ氏が来日し、有楽町のザ・ペニンシュラ東京、ザ・セブンシーズ・パシフィック・アビエーションラウンジにて、プレスイベントが行われた。ワインのガイドは、キアンティ・クラッシコ名誉アンバサダーの宮嶋勲氏が担当された。
ゴリ氏は、「産地とワインをの結びつきをより強めるためのサステナビリティ・プロジェクトを始めています」と言う。
「キアンティ・クラッシコ地域の総面積のうち、ブドウ畑は10%に過ぎません。残りはオリーヴ畑や森です。先人から受け継いできたこの多様性豊かな風景を守るための努力を今後さらに伝えて行きたいと思います。また、この景観のユネスコ世界遺産登録へ向けて、すでに申請しています」と続けた。
この会には、法政大学名誉教授の陣内秀信氏も招待されていた。都市計画が専門分野の教授は、この申請のための準備にも関わった人物だという。
「トスカーナの田園風景の美しさは文化的景観として注目され、すでに世界遺産に登録されている地域があります。トスカーナの風景は自然と人とのコラボレーションで生まれたもので、日本で言えば棚田や宇治の茶畑がそれにあたります。キアンティ・クラッシコのエリアではフィレンツェがシエナを統合し、ヴィッラと呼ばれる別荘を構え始め、ワインを造る拠点であるファットリアやポデーレも生まれました。これらの景観は、例えばフランスのそれとは異なります」と、陣内教授。別荘や農地だけでなく、その周囲を取り囲む自然についても人が手入れを欠かさなかった。まさに自然と人間との共生の歴史が、その美しさを倍増してきたと言えるのではないだろうか。

キアンティ・クラッシコ協会のディレクターを務めるカルロッタ・ゴリ氏(左)、マーケティング・コミュニケーションズ・マネージャーのシルヴィア・フィオレンティーニ氏(右)と、キアンティ・クラッシコ名誉アンバサダーの宮嶋勲氏。
そして、こういった美しい景観から生まれた7種類のキアンティ・クラッシコを試飲した。
NARDI VITICOLTORI Chianti Classico Nardi Viticoltori 2022
カステッリーナ・イン・キアンティのナルディ・ヴィティコルトーリの、アンナータ2022年。アンナータはリゼルヴァではないキアンティ・クラッシコの通称。カステッリーナらしいまろやかな香味。
FABBRI Chianti Classico Terra di Lamole 2021
標高の高いラーモレのイ・ファッビーリのアンナータ2021年。ファッション業界で成功した人物がミラノから移住して創業したとのこと。標高の高さを表すフレッシュさが印象的。
CASTELLO DI VOLPAIA Chianti Classico Castello di Volpaia Riserva 2021
こちらも標高高く冷涼な産地として知られるラッダにある、カステッロ・ディ・ヴォルパイアのリゼルヴァ2021年。モダンでバランス良いワインを造るという印象のあるワイナリーで、リゼルヴァということもあり冷涼さだけでなくストラクチャーも充実している。
CASTELL’IN VILLA Chianti Classico Castell’in Villa Riserva 2019
南部に位置するカステルヌオーヴォ・ベラルデンガのカステッリン・ヴィッラのリゼルヴァ。伝統的な造りをするワイナリーとのこと。若干の熟成感も含めて味わいにも落ち着きがある。
ROCA DELLE MACIE Chianti Classico Il Crocino Gran Selezione 2021
カステッリーナ・イン・キアンティの西部に位置するロカ・デッレ・マチエのグラン・セレツィオーネ2021。グラン・セレツィオーネは最高峰の単一畑。日照量に恵まれているカステッリーナらしさが表現されている。
CASTELLO DI VERRAZZANO Chianti Classico Sassello Gran Selezione 2018
グレーヴェに位置するカステッロ・ディ・ヴェラッツァーノのグラン・セレツィオーネ2018年。グレーヴェらしいスミレのようなアロマがまだ豊かに感じられる。
FONTODI Vinsanto del Chianti Classico Fontodi 2014
パンツァーノのフォントディによる、甘口ワイン。香ばしさ、キャラメルや黒糖のような甘い香りが豊かなワインで、わらび餅にも合いそうな味わい。
どのワインも地域の特性や生産者の個性がきれいに表現されていた。キアンティ・クラッシコの丘陵地の風景を眺めながら飲めれば、さらにおいしさが増すこと間違いない。
(Y. Nagoshi)
最近のコメント