日本酒類販売、25年3月期決算増収増益 カバラン、コドルニウなど好調

日本酒類販売の76期(2025年3月期)連結決算は、売上高6075億29百万円(前年比104.0%)、経常利益64億96百万円(116.7%)、経常利益率は1.07%(+0.12%)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億86百万円(128.0%)だった。売上高、総利益とも過去最高。

単体決算は売上高5777億93百万円(104.3%)、経常利益54億16百万円(110.1%)、経常利益率0.94%(+0.05%)、当期純利益38億31百万円(120.8%)。
単体売上高を業態別にすると、酒販店では業務用が981億13百万円(108.5%)で売上高構成比が17.0%(+0.7%)。組織小売業ではスーパーやDSが堅調だが、それを上回る勢いでドラッグストアが売上高563億64百万円(114.7%)と伸ばし、売上高構成比9.8%(+0.9%)。その他ではネット通販が459億82百万円(114.0%)、外食127億60百万円(121.9%)。

6月30日に都内で開いた決算会見で、倉本隆社長は「業務用市場の活況や代理配送業務受託の推進、インバウンド需要増、量販店との新規取引、ECの伸長などが寄与した」と述べた。
連結売上高の種目別内訳は、清酒や焼酎などの和酒計が1203億67百万円(98.6%)で構成比19.8%(-1.1%)。洋酒計は1855億9百万円(106.9%)で構成比30.4%(+0.7%)。ビール系計は1869億1百万円(103.6%)で構成比30.9%(前年並み)。食品は995億64百万円(106.2%)で構成比16.4%(+0.4%)。
酒類全般はおおむね好調に推移。物流費、資材費、原料米の価格上昇により価格改定を実施するメーカーが増加。その結果、和酒は数量が減少、金額で微減となった。また近年、売り上げ好調だったウイスキーやRTD、ビールは引き続き好調を維持。
また健康志向の高まりからノンアルコールビールの市場も拡大している。成長技術の進歩はもとより、これまでの“ビールの代替品”から敢えて“ノンアルビール”を飲む層が拡大。食品カテゴリでカウントされる同社のノンアル売り上げは140億円規模となっている。

 事業取組みについて村上浩二取締役専務執行役員営業本部本部長は「当社グループは『お酒と食でつながりを『価値』に変える会社』を経営ビジョンに掲げ、第一次中期経営計画の最終年度を迎えて基盤づくりの3年間の締めくくりとして、コア事業である酒類・食品の卸売事業をあらためて磨き上げる、新たな価値創造にチャレンジする、などにグループを挙げて取り組んだ」と説明。
酒類・食品の卸売事業では、各業態への新規開拓・深耕、料飲店向け代理配送業務の受託、業務用酒販店との取り組み強化を推進。新たな価値創造として、エージェント商品の取り組みでは台湾ウイスキー「カバラン」が業務用・組織量販を通じて高く評価され、継続取扱いの「カバランハイボール缶」は前年比235%の9万8000ケースを販売。カバ「コドルニウ」は同115.7%の6万9000ケース。

海外事業としては、ベトナム・ホーチミン市に拠点を置く卸売企業、プロトレーダーとエルドラゴンの2社と業務提携、連結子会社化。同社グループ初の海外法人とし、日本産酒類・食品の輸出先拠点を確保した。
また、酒ハイ(日本酒ハイボール)普及など日本酒復権の取り組み、オリジナル・アソート商品の開発・育成、物流機能の向上などに取り組んだ。

第二次中期経営計画「Challenge to Change2027(CC27)」について倉本社長は「CC24の“基盤づくり”から“進化”させる3年間と位置づけ、2027年度までに連結ベースの売上高目標を7000億円とした。また77期単年度は、連結では売上高6400億円、経常利益57億円。単体では売上高6050億円、経常利益は52億円となる。人件費の上昇、物流費の高止まりのほか、基幹システム刷新の準備費用などの増加要因を踏まえて4%減を見込む」と説明した。

 

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