特集 ベルギービール Interview/BBW東京・六本木ヒルズで15日開幕

—今のクラフトビールブームは、ベルギービールにとっても追い風ということですね。

 

はい、そう思って頑張りたいですね。その意味では、「やっとビールが面白くなってきた」というのが、今の私の正直な感想です。

 

これまでどうしてビールだけが嗜好性ではなくて、均一性というか、同じ味ばかりを追い求めてきたのか、ずっと疑問でした。それはお客さんが追い求めてきたからなのか。クラフトビールに20年間、ベルギービールに27年間携わってきたのは、いわばこの疑問に私なりに答えを出そうというのが、大きな原動力になっています。最近は多種多様なビールが飲まれるようになっています。人間の嗜好というのはやはり単一ではなく、いろいろなものがあればそれを試したいという欲求があることがよく分かります。

 

 

—ベルギービールは醸造家の中でもリスペクトされているのはなぜでしょうか。

 

今から30年以上前に、ビール評論家マイケル・ジャクソン氏が提唱し、英国で展開した“リアルエール運動”というものがあります。ピルスナービールに押されて、エールが売れなくなった時代に、「エールって面白いよ」と呼びかけた復活運動です。その大きな流れというものが、ベルギービールにはあるからです。もちろん英国にはいろいろなエールタイプのビールがあるのですが、それ以上にベルギーには多種多様なビールがあって、非常に面白い市場であることが彼の著書「Great Beers of Belgium」でも紹介され、当時からずっと注目されていました。そして、ベルギービールにインスパイアされたビールが世界各国で誕生しています。

 

こうした背景には、世界を席捲してきたピルスナータイプは、下面発酵の洗練された喉ごしを楽しむビールで、今から二百数十年の歴史がありますが、一方、上面発酵のエールタイプのビールは、もっと古い時代から、それこそメソポタミア文明の時代から続いていて、いわば自然酵母の使い回しを上手にやってきた訳です。そうした技術的な蓄積があって、はじめて面白いビールが生み出されているのです。

 

例えば、ホップについては現在ではその種類も豊富で、いろいろなホップを楽しむことができますが、その使い方でもドライホッピングなど、ベルギービールにはかなりの技術的蓄積があります。発酵技術においても瓶内二次発酵というシャンパーニュやスパークリングワインでは当たり前ですが、ビールではなかったものをベルギーでは昔から取り入れています。さらに、レッドビールの『ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ』などは熟成年数の異なるビールをブレンドしてさらに熟成させるなど、いろいろな醸造技術や貯蔵技術が積み重なって出来上がっています。

 

このようなベルギービールの中でも頂点にあるにはトラピストビールではないでしょうか。修道士は当時のエリートで、修道院は研究の場であり、学校であり、病院でもありました。そういった修道院で修道士がより安全でおいしいビールを研究して、地域の人たちに造り方を伝授したことが、ベルギービールのルーツにあると共に、いわばビールのルーツとも言えます。そういったベルギービールの歴史、味わい、品質を理解して、その魅力を感じて頂ければもっとビールの面白い世界が広がるのではないかと思っています。

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