「ラ・スピネッタ」のジョルジョ・リヴェッティがアルタ・ランガの「コントラット」にかける情熱

 

アルタ・ランガとは

「コントラット」は150年以上のスパークリングワイン生産者としての歴史があり、第二次大戦前に40か国以上に販売するなど有名なワイナリーだった。しかし、特にDOCやDOCGといった原産地呼称にこだわっていなかったという。既に自社の名前が通っていたため、原産地呼称の重要性を感じなかったのではないだろうか。

また、1900年初頭は現在のアルタ・ランガ地域にはそれほどブドウ畑はなく、今よりも気温が低かったためどちらかといえばシャルドネが主体だった。次第にオルトレポ・パヴェーゼでのピノ・ノワールの栽培が増え、アルタ・ランガのシャルドネとオルトレポ・パヴェーゼのピノ・ノワールでスパークリングワインを造るようになり、これは2005年前後まで続いていた。1990年代末頃にアルタ・ランガだけのブドウで生産できるように植樹を始めており、これらを実際に使えるようになるのが2005年頃だったからだ。

ようやく1990年代にこの地域のスパークリングワイン限定の生産者協会を設立しよう、という動きが起こった。6社ほどで「ピエモンテ・スプマンテ・コンソルツィオ(協会)」を設立した。しかし「コントラット」はちょうどボッキーノに買収されてしまったこともあり、積極的な活動に加わらないままだった。その後「アルタ・ランガ」と名称を変更し、2001年にDOCに認定され、2011年にDOCGに昇格することになる。

アルタ・ランガの地図

アルタ・ランガ地域は、とても広い。アスティ、クネオ、アレッサンドリアの南に広がる丘陵地帯と山岳地帯で、標高は250〜800m超まで。山岳地帯の向こう側はリグーリア、という立地にある。他の原産地呼称でいえば、バローロ、バルバレスコ、ガヴィ、ニッツァ、アスティが重なっており、中でもアスティが最も広く重なっている。これほど広い理由は「アルタ・ランガの生産量をすぐに増やそうと考えていたから」、「コンソルツィオ(協会)設立当初のメンバーが当時の自社の都合に合わせて決めたから」などと言われているようだ。ともあれこの範囲の中から各生産者が区画を選び、申請して認可が降りなければアルタ・ランガとは表示できない。

(すべてアルタ・ランガ地域のブドウであること/認定品種:ピノ・ノワールとシャルドネで合計90%以上/色:白or ロゼ/瓶内二次発酵のみ/ブリュットorノン・ドゼ/瓶内熟成30か月以上/などの規定がある)

2019年現在でアルタ・ランガの畑は約220haが認可されており、そのうち120haほどが稼働している。2021年には310haまで増やす決定がすでにコンソルツィオでなされているようだ。しかしそれでも、フランチャコルタ(3,230ha)の10分の1、シャンパーニュ(34,000ha)の100分の1と、まだまだ小さなエリアである。小さいからこそ、瓶内熟成期間(アルタ・ランガ30か月以上、フランチャコルタは18か月以上、シャンパーニュ は15か月以上)など厳しい制約を課して品質至上主義を明確に表したいのではないだろうか。

「コントラット」の場合には、現在36haの自社畑に加えて9ha借りている畑がある。ほとんどの銘柄は既にアルタ・ランガDOCG に切り替わっているが、全ての「コントラット」がアルタ・ランガDOCGとしてリリースされるのは2015年ヴィンテージからとなる。

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