サントリー、ビール事業の下期マーケティング戦略 プレモル、サン生、金麦、PSBで接点拡大

サントリーはビール事業に関するマーケティング説明会を7月8日に都内で開いた。常務執行役員ビール本部長の多田寅氏が現在の状況と下期マーケティング戦略を説明した。

 今後の環境変化として、2026年10月の3度目の酒税改正でビール、発泡酒、新ジャンルの酒税が350㎖缶換算で54.25円に一本化されることに対して多田氏は「一本化後も今の店頭価格を基点とすると複数のカテゴリーが残ると予想している。プレミアムビールの『ザ・プレミアム・モルツ』(プレモル)、スタンダードビールの『サントリー生ビール』(サン生)、エコノミーの『金麦』、そして機能系の『パーフェクトサントリービール』(PSB)と『金麦<糖質75%オフ>』という、各カテゴリーに対応したポートフォリオでしっかりお客様接点をつくっていく」と述べた。
またビール類の缶の市場では、狭義のビールがビール類に占める構成比でみて、2020年の32%を底に、2度の酒税改正を経てビールの割合が伸長している状況を受けて「ビールは今後も成長が見込まれる。一方、価格差が残るため2030年においてもエコノミー市場は、50%弱は残ると想定している」とした。

2024年上期の出荷量は、ビール類総市場が前年同期比97%の前年割れと推定されるのに対し、同社は95%で、想定内だがやや出遅れた。ブランド別ではプレモル、サン生、PSBは前年実績を上回り好調。金麦は「新ジャンル(発泡酒②)」が79%と大きく落ち込むなかで91%と健闘している。
プレモルは新メッセージ「いい日、プレモル」訴求で新規の購買者が1.5倍増加。
サン生は1~6月出荷130%と好調。3月からスタートした飲食店での瓶・樽の取扱い店舗数が1万6,000店を突破。「飲食店で飲んだ人の9割以上が美味しかったと評価し、6割の人が缶での購入意向を示すなど、サントリー得意の業務店でおいしさを実感して家庭で缶を購入する流れがつくれている」(多田氏)。
金麦はリニューアル後、「金麦<糖質75%オフ>」の購入率が20%アップ。また「金麦」本体は4月リニューアル週に購入者が前年越えし、トレンド回復したとみる。

こうしたことを背景に下期のマーケティング戦略では、多様なニーズに応えるべく、「ブランドの魅力向上」、「良質な飲用接点」、「新たな挑戦」を強く意識する。

プレモルでは引き続きマス広告でシーンに寄り添った提案を行うとともに、飲食店での飲用時品質のさらなる追求によるおいしいプレモル体験の拡大で、プレミアムビールとしての存在感を高める。「昨夏は恐る恐るだったが、今夏はリアルに乾杯するシーンが増える夏になる」(多田氏)と言い、限定デザインの“ハート缶”を7月9日から発売。「“いい日”をいっしょに、楽しむ夏」の世界観で夏のビール需要を盛り上げる。飲食店では、“神泡”達人店認知度が40%まで上がってきており、認定店のイメージアップにもつながっている。食べログと連動した訴求で、さらなる接点拡大を図る。

サン生は取扱い飲食店を現在の1万6,000店から年内2万店に上方修正。夏最盛期に全国30か所、200万人規模のリアル体験の接点イベントで、飛躍的な接点拡大を図る。また若年層を中心にアプローチを強化し、“これからのみんなの新定番ビール”として圧倒的なポジションを確立する。CMや店頭でオリジナルマグジョッキが話題なことから、9月~11月の秋プロモーションでは、マグジョッキに名入れすることができる“絶対もらえるMYサン生ジョッキ”キャンペーンを行う。

金麦は、生活者のエコノミー需要活性化に向けて、季節に合わせて味を整えた既存の「四季の味の金麦」に加え、季節のワンシーンを商品名に盛り込んだ新たなコンセプトで、「金麦<帰り道の金木犀>」を9月10日から限定発売。ブランドで興味を持つきっかけを提供していく。
また4月に北海道エリア限定で販売していた「金麦サワー」を、10月15日から全国で、30万ケースの数量限定で発売する。「ビール類とRTD併買ユーザーはこの5年で1.5倍に増加している。ビール類飲用者の半数はRTDとの併買ユーザーであることから、金麦ブランドで、RTDが担っている2杯目需要に挑戦する」(多田氏)。先行販売の北海道での売れ行きが好調で、ビール・RTDを買い回るユーザーの需要を狙い通り獲得できたことから全国展開に踏み切った。
 このほか、「ビアボール」は、従来の“炭酸でつくる自由なビール”から、5月のリニューアル後は様々なシロップを使った“割り方いろいろ!楽しめるお酒『ビアボール』”という価値訴求に変更。酒類新規・ライト層かつ若年層の飲用が広がっていることから、下期も継続的なプロモーションを展開していく。

2024年の販売計画は、期初の目標を維持し、ビール類計で前年並みの6,000万ケース。うちプレモル102%、サン生150%、PSB117%、金麦96%を目指す。

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