- 2025-3-7
- Wines, スペイン Spain
- ベガシシリア

【新ヴィンテージ入荷】
160年の歴史を持つベガ・シシリア。
リベラ・デル・ドゥエロで「ウニコ」を生む名門だ。
試行錯誤をしながらも、時を味方につける「待つ」の哲学が、
トロ、リオハの地でも実を結び、各地の個性を引き出している。
醸造長のゴンサロ・イトゥリアガ氏に話を聞いた。
取材・文 宮田 渚
近頃は長期熟成させないワインが増えた。「待つ」ということをしなくなった。爽やかさを求めて若いうちに「飲める」とする。しかし、「テンポス・ベガ・シシリア」は「待つ」。長期熱成に適したブドウと造り手がじっくり対話する。「ウニコ」が市場に出るのはワインになってから10年以上先だ。そこから50年と熟成が続くこともある。
「熱成を忍耐強く待つ。それがもっとも大切と考えている」と、醸造長のゴンサロ・イトゥリアガ氏は話す。土壌も、ブドウも、ワインも、機が熟すまで耐えて待たねばならない。社名の「テンポス」は、“時間があってのワイン”の意味だ。時間がワインの本質を引き出す。
「1年目のワインは、活力に満ちた美しい若者だ。その若者は発展していかなくてはならない。時間をかけて、多くのニュアンス、より深い複雑さ、新たな次元を持つ大人へと変貌を遂げる」。

ベガ・シシリアの歴史は長期熟成の哲学で貫かれている。
農園の敷地面積は1,000ha。ここは中世、ドゥエロ川が北のキリスト教勢力と南のイスラム教勢力の境界線だった。10世紀に建てられたサンタ・セシリア教会が、ベガ・シシリアの名の起源だ。「ベガ」は川沿いの肥沃な土地を意味する。
1864年、この地でエロイ・レカンダがワイン造りにとりかかる。ボルドーからカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどの苗木をもち帰ってドゥエロ河岸に植えた。1907年、醸造家チョミンがこの地のワインには「長期の樽熟成こそ」と思いたった。それが、ワインを幾度か異なる樽や容器に移し替える熟成法であり、チョミンは「ウニコ」と「バルブエナ」の初ヴィンテージを造りあげた。
1982年、ダビ・アルバレスがベガ・シシリアを買った。3年後、息子のパブ口が継いでオーガニック栽培を採用する。当時としては大胆な決断だったが、40年近い取り組みが実を結び、2024年には農園の自社畑全てでオーガニック認証を取得。現在、欧州連合基準のコンポスト施設の建設も進めている。
品質向上も「待つ」。その徹底ぶりはコルク栓にも表れている。1999年にコルク臭が問題になったとき、市場から「バルブエナ 1994」の全量を回収した。身を切る決断だったが、これを契機に自社コルクの製造を決断。農園にコルク樫を5万本も植えた。樹皮が栓になるまでには30年もかかるが、ベガ・シシリアは耐える。決して急がない。
二つの表現
ウニコとバルブエナ
ベガ・シシリアの210haのブドウ畑のうち、140haがウニコとバルブエナ用だ。標高700~900m、64の区画に分かれている。長い歴史でこの地に根付いたテンプラニーリョから、88種のクローンが生まれ、うち選ばれた25種を混植する。「クローンの多様性が、ワインの複雑さを生む」と、イトゥリアガ氏。
2010年、醸造設備を改装し、区画ごとの醸造ができるようになった。毎年15から20の区画を「ウニコ」に向ける。特に森に近い斜面上部の区画を選ぶ。泥灰士でも特に石灰質が豊富な土壌だ。
「pHや酸度の数値だけでワインは決まらない。ブドウの樹齢よりも、土壌がもたらず複雑さが『ウニコ』の質を決定づける。
この石灰質層は根菌も多く、無数の細かい根が活発に広がる。結果、非常に力強く凝縮感があり、同時に気品を持つテンプラニーリョが生まれる。その凝縮感をならし、複雑さを引き出すのが時間だ」。
ウニコ向けの区画は木樽発酵槽で、バルブエナ向けはステンレスタンクで、それぞれ自生酵母で発酵させる。その後の樽熟成で個性が形作られる。「カ強いワインには優雅なフレンチオーク樽を。密度の低いワインにはアメリカンオーク樽で口当たりを補強する。エレガントなワインには、その良さを生かすため控えめな樽を」とイトゥリアガ氏。樽熟成1年目の終わりに試飲し、「ウニコ」か「バルブエナ」かの最終決定を下す。
ウニコに選ばれたワインには、長い熟成が待っている。2年目、一部のワインは使用済みの樽に戻され、残りは2万2,000ℓのフレンチオーク製大樽へ移される。「ワインがゆっくりと進化していくのを見守る。極力動かさないで、澱引きは年に一回。単純なワインが、味わいの層が多様なワインに変化していく」。
3年目から深化が始まる。この時、少し古いヴィンテージを3〜4%加えて、ワインに深みを与える。最終年には少し若いヴィンテージを加えて整える。「私はこれを”塩コショウする“と言っている」とイトゥリアガ氏。樽で5年、瓶内で5年の熟成を経て「ウニコ」が完成する。
今年のリリースは「ウニコ 2015」だ。イトゥリアガ氏が醸造長として初めて手掛けたヴィンテージだ。「革命ではなく、進化を」という方針のもと、大樽での熱成比率を少しずつ高めていった。この年、ブドウの生育は早く、均一で、理想的な出来だった。赤い果実を思わせ、口に含めば熟成感が伝わる。みずみずしく上質なタンニンが、さらなる熟成を期待させる。
「バルブエナ 5°」は繊細でエレガントな区画のプドウから生まれ、その名は5年の熟成期間に由来する。小樽で1年、大樽で1年、ステンレスタンクで6か月、瓶内で18か月熟成。2020年は試練の年だった。収穫前の大雨で醸造への知恵が試された。上質な黒い果実、スパイスの香り。口当たりは魅惑的で、熟した果実味とかんきつ系の変やかさが調和する。

ウニコ 2015
ティント・フィノ(テンプラニーリョ)96% 、カベルネ・ソーヴィニヨン4%。樽で5年、瓶で5年、合計10年間の熟成。ふくよかで、ザクロやクランベリーの果実味、スパイシーなタンニン。若々しく、数十年の長期熟成を期待できる。
希望小売価格 121,000円。

バルブエナ 5° 2020
ティント・フィノ(テンプラニーリョ) 97%、メルロ3%。合計5年間の熟成。「ウニコ」と比較すると、ピュアで繊細な表現。口当たりはしなやかで、黒スグリやブルーベリー、スパイスと森の下草も。革のような熟したタンニン。20年以上の熟成ポテンシャルを持つ。
希望小売価格 39,600円。
PR 問い合わせ:ファインズ
☎03-6732-8600 https://www.fwines.co.jp
続きは、WANDS 3-4月号
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